清瀬市役所のみつばち5万匹が新庁舎へ 職員より先に引っ越し

市庁舎の屋上で養蜂が行われている清瀬市で、3月12日、新庁舎へのみつばちの“引っ越し”が行われた。

清瀬市役所は老朽化のため隣接地に新庁舎が建てられており、5月の連休明けから稼働する予定でいる。

それに先駆けての、みつばちの移動となった。

(編集部注 引っ越しの様子を約1分の動画に収めています。新庁舎の屋上の様子と併せてご覧ください)

「仮住まい」を経て新庁舎へ。単純ではない、みつばちの引っ越し

職員より先にみつばちが移されたのは、春から夏にかけての本格的な蜜集めの前に、その本拠地を固定する必要があったため。

特に柳瀬川沿いに咲き誇る桜並木は、清瀬のみつばちたちにとっては重要な蜜源。そのため、桜の開花前にみつばちを移す必要があり、このタイミングでの“引っ越し”となった。

ところが、「引っ越し」といっても、みつばちの場合は、単純に隣の建物に移せるというものではない。

外に出て活動しまた巣箱に戻るという習性を持つみつばちは、巣箱を移設した場合、元の場所に戻ろうとしてしまって移設先に帰れなくなるという“迷い蜂”になる恐れがある。そのため、一旦元の場所の記憶を消す必要がある。

そこで今回は、2月2日に、約2キロ離れた資材置き場に巣箱を移設し、約1カ月の“仮住まい”をさせて、新庁舎に移した。

これは、なかなかの難作業だったとか。

清瀬市が行うような定置養蜂では、通常は巣箱を移すことがない。そこを無理して軽トラックで巣箱を移動させたため、みつばちに相当のストレスがかかったようで、結局、およそ3万匹が死んでしまった。

さらに、仮住まい先から新庁舎への移設も、苦労の連続だったという。

特に大変だったのは、小屋の建設。旧庁舎のときには試行錯誤で設置した小屋を新庁舎に移設したが、柱となる鉄パイプなどはエレベーターで運べないため、1本ずつ担いで、職員が階段で上り下りした。

小屋は、市民向けのイベントを行う場合の安全確保や、秋頃のスズメバチ対策として必要不可欠。何とか小屋が形になったのは、引っ越し直前のことだったそうだ。

水場の設備など、環境良好に

そのような苦労を経て、5つの巣箱が屋上に並んだ。

巣箱は、軽トラックで地下駐車場まで運ばれ、そこから職員の手でエレベーターに載せられ、屋上まで移された。

新庁舎の屋上は、旧庁舎のときと異なり、最初から養蜂を見込んで設計しているため、水場があるなど、環境は格段に良くなったそうだ。

担当する総務課の海老澤雄一さんは、

「晴れていれば富士山を正面に見られますし、こんな養蜂場はそうそうありません。今後、市民の方が見学にいらしたときも、喜んでもらえるはずです」

と話す。

ちなみに、金曜日の移設となりましたが、海老澤さんは、土日も様子を見に来るつもりとのこと。

「みつばちたちには早くこの環境に慣れてもらって、春の花の蜜をどんどん採ってきてほしいですね」

と、声を弾ませていた。

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