街かど診療室
保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム
この季節は花粉症に悩まされ、抗アレルギー薬点眼のために眼科に飛び込む方も多いと思います。
このアレルギー性結膜炎を悪化させる因子として、ドライアイがあることをご存知でしょうか。
そのうちの分かりやすい一つを今回は解説します。
ドライアイだと、角膜に傷がつきやすくなる
現代生活においてドライアイと診断され、治療を継続している方は少なくありません。
ドライアイでは、目の表面の涙液層の不安定さから、摩擦が多くなり角膜に傷がつきやすくなります。少しの傷は違和感のみですが、目の表面をこする動作が多くなります。
眼周囲のかゆみを伴うアレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は、眼周囲のかゆみを伴います。これは、アレルギーを引き起こす物質が目の表面に付着し、結膜などの組織、毛細血管に作用して肥満細胞が出てきて、そこからかゆみを引き起こすヒスタミンなどが遊離します。
この際、結膜には濾胞と呼ばれる細かい隆起を多数認めます。目を擦ってしまうことによって炎症が起こると、さらに血管などから、アレルギー関与物質が多く出てきます。
ドライアイ+アレルギー性結膜炎だと……
涙液層が不安定になり、瞬きと眼球の抵抗が多くなった目に、アレルギー性結膜炎でぶつぶつが結膜(赤目)にたくさんあると、どうなるかは何となくご理解いただけるでしょうか。
さらに抵抗が増し、ドライアイによる角膜の傷も増え、抵抗によって結膜は擦られていき炎症が増えてアレルギー反応がさらに悪化します。
アレルギー反応は、それ自体だけであれば抗アレルギー薬で抑え込むことがかなりの割合で可能ですが、擦ったり叩いたりして炎症が出てくると、コントロールは非常に困難になり、ステロイドや免疫抑制剤の力を借りなくてはなりません。
必要最小限の治療とするには、ドライアイ・抗アレルギー点眼を決められた回数を規則正しく行うことが大きなコツとなります。
プロフィール
伊藤 勇