元銀行員で平和運動を続ける花岡蔚(しげる)さんが先月出版した『14歳から考える恒久平和のつくり方』(花伝社)の挿絵を、西東京市のアニメ制作会社「エクラアニマル」の本多敏行さんが描いている。

タイトル通り、子ども向けの本で、イラストがさらに親しみやすさを生み出している。
四コマ漫画も挿入されており、例えば、「最強の技」と題したページでは、
「師匠! 一番強い技を教えてください」
と頭を下げる弟子に対し、武道家が
「それは相手と友達になることだ。本当に強い者は、敵を作らない」
といった描写があり、楽しみながら手に取れる。
本多さんはアニメ「巨人の星」や「ドラえもん」「それいけ!アンパンマン」など数多くの作品を手掛けてきたアニメーター。
草の根運動続ける花岡さん
一方、著者の花岡さんは、東京大学法学部卒業後、アメリカ留学を経て、日本勧業銀行(現みずほ銀行)入行、カナダ第一勧業銀行副頭取を務めるなど、主に銀行業務に携わってきた。
2003年の「自衛隊イラク派兵反対集会」を機に市民運動に関わるようになり、現在、9条地球憲章の会、不戦兵士を語り継ぐ会などに参加。全国で講演活動も続けている。著書に『自衛隊も米軍も、日本にはいらない!』がある。
本書では「防衛省を廃止して新しく防衛平和省をつくる」「自衛隊を国際災害救助即応隊(ジャイロ)に改組する」といった大胆な提唱をしており、武力を放棄する 「積極的非武装中立論」を説いている。
1943年の戦中に、現在のソウルに生まれた花岡さんは、引き揚げの苦労や帰国後の貧困に苦しんだ経験をしている。そうした体験から平和への思いが強く、
「資本主義、商業界の中で仕事してきた身として、戦争で儲けたいという人たちがいることを知っている。日本の中では戦争の記憶が薄れていくなか、今、まっさらな子どもたちこそ平和を考えてもらいたい」と訴えている。
1650円。全国書店、ネット書店で販売中。
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