「緑綬褒章」の団体前代表・池田干城さんから提言 「温暖化待ったなし。全員ができることを」

これまでも国土交通大臣賞や東京都公園協会賞(ボランティア部門最優秀賞)を受賞している西東京市の市民団体「西原自然公園を育成する会」が、先月、緑綬褒章を受章した。20年以上にわたる樹林再生の取り組みが評価されたものだが、前代表の池田干城さんは喜びの一方で、現状への課題も口にする。その提言をまとめた。

「西原自然公園を育成する会」前代表の池田干城さん

雑木林の萌芽更新を20年以上

同会は、2000年から市と連携し、約2ヘクタールの雑木林から成る西原自然公園の樹木の若返りに取り組んでいる。

毎年エリアを決め、計画的に老木の伐採や萌芽更新を行うもので、すでに若返りは全面で終了し、現在は2度目の萌芽更新に着手している。

活動初期から関わる同会前代表の池田さんは今回の受章を「ボランティアとして最高の評価で、うれしい」と話す一方で、懸念も口にする。

 「この20年の間に数々の賞を頂き、視察にも多くの方に来ていただいた。私たちの萌芽更新が一つのモデルになり得るということだと思うが、残念ながら定期的に更新を行っているところはほとんど聞かない。自然環境保全という点では、課題の解決はまだまだだ」

西原自然公園を育成する会のメンバーたち

人の手を入れた積極的な緑地保全が必要

そう語る池田さんの視線は、現在の緑地保全のありように向く。都が緑地保全地域(保全地域)などを設定しているが、予算の不足などもあり、積極的な保全活動ができていないのが実情だ。

「エリアを指定し、開発を禁じることが緑地保全ではない。かつての武蔵野の雑木林は人の手で管理されていた。放っておけば、木々は老木化するだけでなく、光合成の力も弱くなる。若木の成長力をもっと活用しなければ」

そのうえで、担い手についてこう提言する。

「温暖化は待ったなしのところに来ている。緑の重要性は言を俟たない。行政だ、NPОだ、ボランティアだと言い合っている場合ではない。できる人ができることから始めないと。私たちの場合、会員は二十数名だが、年に一人入ってくれれば、20年後にはちゃんと入れ替わって若返ることになる。西原自然公園の樹林更新と同じ。焦らずに長期的な視点で、活動を継続していくことが大事だ」

各家庭でできることがある

20年以上活動を続けてきた池田さんの言葉だけに説得力がある。来年には90歳になる池田さんは、最後にこう強調した。

「全世帯が1本ずつ木を植えれば、西東京市で10万本のグリーンベルトができる。それだけあれば、野鳥だって集まってくる。身近なところから自然を豊かにできるのです。

西原自然公園では、樹林を管理し、日光が隅々にまで差すようになったことで、絶滅危惧種のキンラン・ギンランも芽吹くようになった。自然の再生能力は驚くべきもの。諦めず、人任せにせず、今こそ一人ひとりができることから始めるべきだと思う。

褒章もそのような、緑の若返りの作業を評価されて頂いたものと思っています」

【リンク】

西原自然公園を育成する会

西原自然公園

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