加齢で誰でもなる病気 「ひばり中村眼科」・中村院長に聞く
高齢になると避けられない「白内障」。程度の差こそあれ誰でもなるという疾患だけに、正しく知って、うまく付き合っていくことが重要です。そこで、検査から日帰り手術まで行っている「ひばり中村眼科」の中村真太郎先生に話を聞きました。
白内障とはどんな病気?
――白内障とはどんな病気ですか。
「目の中の『水晶体』が濁り、見えにくくなる症状です。
目はカメラと似た構造をしていて、水晶体はレンズに当たります。このレンズが濁ってしまうため、フィルムに当たる目の奥の『網膜』に光が十分に届かなくなり、見えにくくなるのです。
濁りは自然に改善することはありません。進行を少し遅らせるための点眼薬はありますが、使っていても少しずつ進行します。白内障を治して視力を改善させるには手術が必要です」
――濁る原因はなんですか?
「ほとんどの白内障は加齢が原因で、誰もがなる病気です。 糖尿病のある方、ステロイド薬を使い続けている方、アトピー性皮膚炎のある方は、若くても白内障になることがあります」
手術は概ね10分程度
――治療は手術しかないとのことですが、どのような手術ですか?
「局所麻酔で、角膜の端に小さい傷口を作り、そこから器具を入れて、水晶体の袋を残したまま中の濁りを取っていきます。その後、残した袋の中に人工レンズを入れて固定します。特別なことがなければ10分以内で終了します」
――短時間ですね。
「決して簡単な手術ということではないのですが、白内障は眼科の手術の中でも最も数が多く、そのため手術機械も医師の技術も進歩してきています。日帰り手術で行われることがほとんどで、翌日には眼帯を外せます。
ただ、中には眼の中の状態により手術が難しい場合もあり、その場合はもう少し長い時間を要することもあります。
眼内レンズ自体も徐々に進歩してきています。ひばり中村眼科では、強い乱視のある患者さんに、乱視を軽くする『トーリック眼内レンズ』を使用しています。トーリック眼内レンズは医療保険の適応となるので、特別高額な費用が必要になるわけではありません。多くの患者さんに満足していただいています」
――人工レンズには種類があるそうですが。
「大きく分けて、単焦点と多焦点の2種類があります。
単焦点は決まった距離にしか焦点が合わないので、他の距離を見るには眼鏡が必要になります。多焦点は遠くも近くも焦点が合うため、眼鏡の必要性を減らせます。
多焦点レンズは自費診療のため自己負担額が大きかったのですが、2020年4月に制度が変わり、一部保険適用となっています。以前よりも本人負担が少なくなり、選択の幅は広がったと思います」
――どんな症状なら手術すべきでしょう?
「白内障のためにすでに見えにくくなっているなら、手術をお勧めします。体への負担が少ない手術ですので、ご高齢の方、90歳以上で手術される方もいらっしゃいます。
急ぐ必要はありませんが、もし不自由ならば我慢せずに手術を考えたほうがいいと思います。一度受診してご相談ください」
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