役をめぐる攻防

妻がこの数年、PTAやら育成会やらでいろいろな役を引き受けているのだが、年度末が近付き、頭と胸を痛めている。どの会でも、次期役員決めが困難なためだ。

先日はある地域の会で、会合に欠席した人が会長に任命されるというハプニングが起こった。出席者が次々と他の役に立候補したためで、最初こそ「今年の参加者は意欲が高いな!」と受け止めていた妻も、次第に欠席者の会長就任が見えてきて、暗い気持ちになったという。

しかもその過程では、比較的負担の軽い役に立候補者が集中し、人知れず闘病中(妻は個人的に聞いていた)の人が、じゃんけんに負けて大変な役に回される場面もあった。

ただ、この顛末には、後日談がある。「役員決めに欠席した方が会長になるのはさすがにどうかと思う……」と、すでに役を獲得していた女性が会長になることを申し出てくれたのだ。

この女性が言うには、「その方が不満を抱えたまま会長になるのは地域のためによくない」とのことで、欠席者の心情以前に地域のことを考える姿勢に胸打たれた。

もっとも、こんな美談はそうはあるまい。PTAの役員決めなどでは、「子どもが低学年のうちに――」などの深謀遠慮(?)がうごめくと聞く。

地域情報紙作りに携わる身としては、住民自治だの地域コミュニティだのと唱えたくなるが、そう容易ではないことはよく分かっている。

ヒントになるとは思えないが、こういうトピックのとき、いつも思い出すある女性の言葉を紹介しておこう。

「市民活動って、レジャーなんだよ!」

彼女が言うには、計画して、チームで実行するのはスポーツと同じ、というのだが。普通はなかなかそんな心持ちにはなれないか。

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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