街かど診療室
保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム
聞きなれない病名ですが、眼底出血によって目の中の神経の膜(網膜)のど真ん中(黄斑部)が腫れてしまう状況をいいます。
網膜の光を通す組織に水が溜まってしまい、視力低下やゆがんで見えたり、物の大きさが正常な目と比べて大きかったり小さかったりと多彩な症状が出ます。
さまざまな治療法を試みる
網膜中心動静脈出血や、糖尿病網膜症で発症することが多いです。
もちろん、原因疾患(高血 圧、糖尿病など)の治療が最優先ですが、視力低下をきたしてしまった際の現在の治療法は、新生血管を抑制する薬物を目の中に注射したり(これが最も多くされている治療)、炎症を抑えるステロイドを白眼に注射したり、詰まっている血管の周りの網膜をレーザーで焼いたりとあらゆ る手段をとりますが、それでも効果ない場合は、手術に踏み切ります。
あきらめずに治療を続けるしかない
注射は何回でも効果があるうちは施行します。最初の1年間で10回、5年で30回ほど注射する施設もありますが、注射で治らない人はおおよそ4、5人に1人、手術で治らない人も4人に1人ぐらいとの統計も出ています。
しかし放置すると、真ん中が見えない状態になるので諦めずに治療を続けるしかありません。
また、何度でも再発する可能性が高いので、眼科定期検診と原因疾患のコントロールが重要になっ てきます。
高血圧やコレステロールが高め、または糖尿病の人は、眼底に症状が発症しないよう各病気のコ ントロールを内科の先生と頑張ってください。
プロフィール
伊藤 勇