身近な放射能を忘れないで! 西東京市の「あるびれお」が測定の協力者募集

原発事故から10年たっても放射能が身近にあることを忘れないで――西東京市の市民が運営する放射能測定所「にしとうきょう市民放射能測定所あるびれお」(以下、あるびれお)が、「3・11から10年プロジェクト」として、地域の土壌のセシウムの測定などを行っている。同会では、全市域のデータを取りたいと、協力者を募集している。

土壌提供・ゼオライト設置など

福島第一原発事故から10年の今年(2021年)。事故直後は騒がれた放射能問題も、今や忘れられつつある。が、実際には、身近な放射能が消え去ったわけではない。

そのことを改めて思い出してほしいと、「あるびれお」では、地域の放射能を測定し出している。

雨どい下に設置したゼオライト。屋根に付着したセシウムを吸着する

 子どもの遊ぶ道が…

測定の方法は、主に2つ。一つは身近な土の測定。もう一つは、園芸などで用いる顆粒状のゼオライトを使って、3~4カ月ごとの定期観測を行うもの。

これは、セシウムを吸着するというゼオライトの性質を生かした方法で、家屋の雨どい下に設置し、雨で流されてきた放射能をキャッチする=上画像参照。現在十数件の協力先があり、測定では、最大でセシウム137が21.4ベクレル/キロ(以下、単位同)検出されている。

また、土壌の測定では、最大で1460ベクレルが検出されている。側溝にたまっていた土とのことで、近隣に暮らす女性は「数値の高さに驚愕した。長年、子どもが路上にチョークで書いたり、縄跳びをして遊んでいた場所。放射能問題は決して過去のことではないと痛感しました」と話す。

食品の放射能測定の様子

「たばこを何本吸えば健康を害するか」と問うようなもの

もっとも、1460ベクレルと言われても、数値をどう受け止めてよいか分かりにくい。それに対して同会共同代表の古林美香さんは「閾値はない」と強調する。

「たばこを何本吸えば健康を害するか、と尋ねるようなもの。もともと自然界にはほとんど存在しないもので、ないに越したことはない」

ちなみに、あくまで参考値だが、「みんなのデータサイト出版」が昨年発行した『図説・17都県放射能測定マップ+読み解き集  増補版』による2011年時点の推計値では、東京都内の中央値は151ベクレル、福島県では2813ベクレルとなっている。

セシウム137の半減期が30年であることを加味すると、この地域でも軽視できない状況があると考えられる。なお、この地域のセシウムは、福島原発事故で運ばれ、特に同年3月21日の降雨によって滞留したと見られている。

データを残すことが大事

「あるびれお」は、事故翌年に市民の手で始まった放射能測定所。約10年にわたって活動を続けてきた思いを、発足時から関わる小児科医の梅村浄さんは「10年は確かに長いが、まだ10年ともいえる。これから出てくる影響もあるかもしれず、データを残すことを重視してきました」と話す。

同会では、土壌の提供やゼオライト設置など、測定の協力者を求めている。詳細はあるびれお(https://west-tokyo-albireo.com)へ。

【リンク】

にしとうきょう市民放射能測定所あるびれお

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