西東京市ゆかりの詩人・茨木のり子さん偲び 市民が半生たどる「朗読劇」

西東京市ゆかりの詩人・茨木のり子さんの半生を市民手作りの朗読劇で紹介――8月8日(2021年)、没後15年となる茨木さんを偲ぶ催しが保谷こもれびホールで開かれる。残席わずかだが、主催団体は「多くの市民に茨木さんがこの地に暮らしたことを知ってほしい」と呼びかけている。

朗読劇には、旧保谷市の都丸哲也元市長(左から2人目)も自身役で出演する=7月18日の練習風景

西東京市(旧保谷)に48年間

「わたしが一番きれいだったとき」「倚りかからず」などの詩で知られる茨木さんは大阪府出身。愛知県で育ち、高校卒業後に進学のため上京。結婚後、1958年から79歳で亡くなるまでの48年間、西東京市東伏見に暮らし、旧保谷市の「憲法擁護・非核都市の宣言」(以下、「宣言」)の制定にも携わった。茨木邸は現在も親族の手で保存・管理されている。

そうしたことをもっと市民に知ってほしいと2015年に結成されたのが、市民グループ「茨木のり子の家を残したい会」(代表・小田桐孝子)。季刊誌「のり子手帖」の発行や詩の朗読会などのイベントを行っており、現在、約130人の会員が在籍する。

8日のイベント「どこかに美しい人と人との力はないか 茨木のり子没後15年の集い」は、茨木さんの没後15年を偲ぶ企画。オリジナルの朗読劇のほか、プロによる独唱、ピアノ独奏、合奏などが披露される。

朗読劇に出演するメンバーたち

少女時代から「別れの手紙」まで、オリジナル脚本で

このうちの朗読劇「詩人茨木のり子の軌跡」は、茨木のり子さんの生涯をまとめた38分間の舞台。

ルーツをひもとき、軍国少女の頃、父との葛藤、同人誌「櫂」の創刊、夫の早世、ハングルの習得と翻訳、生前に書かれた「別れの手紙」など、人生のポイントをオリジナル脚本・演出で紹介する。

出演は同会メンバーら18人。脚本・演出を担当した橋口紀子さんは、「朗読劇は経験がない人も取り組みやすいもの。動きのある朗読劇を楽しんでいただけたらと思います」と話す。

また、劇中で描かれる「宣言」草稿の場面についてはこう話す。

「『宣言』は、当時の旧保谷市長だった都丸哲也さんが、直接茨木邸を訪ねて草案を依頼しています。これは、この地域にとっては大きな意味があるエピソード。実は今回、100歳になった都丸さんが、60歳だった頃のご自身役で出演します。そして『宣言』を出演者全員で読み上げます。とても素晴らしいことです」

イベントは午後1時30分から4時15分まで。入場料1800円。

なお、「コロナ」の影響で席数が制限されており、残席はわずかとのこと。また、感染状況で延期の可能性もある。

(取材記者・三好圭子)

編集部注このイベントは終了していますが、地域のアーカイブ情報として公開しています(なお、このイベントは新型コロナウイルス感染症の拡大により一度延期され、翌春に実施されました)

【リンク】

茨木のり子の家を残したい会

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