村上選手おめでとう

オリンピックが終わった。

2週間の開催期間というのは、絶妙な長さかもしれない。それ以上長いと飽きそうだし、短いと多種目を見られない。夏休み中というのもあり、我が家では小学生の娘2人が中心になってテレビで楽しんでいた。

時間を見つけては、妻も参加して、テレビにかじりついている。……が、横で見ていると、どうも応援のポイントが違う。

「よっしゃー!」

と歓声が上がるのでテレビに目をやると、日本人選手が出ていなかったりする。

「ん? 誰?」

と聞くと、妻と娘が口を揃えて「イケメン」と答える。

「どこの国の人?」

と重ねて聞くと、

「うーん、どこだろ?」

と国籍にさえ興味がない様子。これはこれで、国境を超えるオリンピック精神なのだろうか。

どの競技でもそんな調子。イケメンを探しては応援しているのだが、ときに、納得し難い“判定”もある。

「ちょっと待って、この人イケメンか?」

基準が分からず聞くと、「イケメンだよねー」と娘と妻。

「どの辺が?」

と問うと、小1の娘まで声を張り上げて、「カッコいいよ!」と主張する。

「じゃあ、この人は?」

「男らしいじゃない」

「こっちの選手は?」

「まあ! 野性的」

「こっちは?」

「異国風ね!」

って、外国人だからそりゃそうだろ!

ともあれ、一世一代の真剣勝負に臨む彼らがカッコ良くないわけがない。考えてみれば小1の娘なぞは競技のイロハも分からないはずで、見た目から入るのもありなのかもしれない。

――と、そんな寛容な気分になっていた後半、体操女子の個人種目・床を食い入るように観た。出場したのは村上茉愛選手。小平市出身の選手だ。市長表敬訪問などの場で2度ほど取材したことがある。

結果はご承知の通り銅メダル。やったー、と柄にもなく歓声を上げると、我が家の女たちが急にかたまってヒソヒソと話し始めた。

「今まであんな応援したことなかったよね」

「かわいいからだよね」

……って、そこ、一緒にしないでくれる? まあ、とびっきりの笑顔に魅了されたのは確かにそうなのだけど。

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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