義父が他界したのは先月に記した通りで、私的な話題を3回も続けるのはどうかと思うのだが、面白いことがあったので、お伝えしたい。
避けようもなく我が家も相続処理に追われているのだが、ややこしくなる要素は皆無のため、妻が中心になって地道に自力で行っている。やはり面倒なのは戸籍謄本の入手。生真面目にも義父は引っ越すたびに戸籍を移していたようで、最終的には10通近くにもなりそうな具合となっている。
その入手に当たっては、地方には郵送で依頼。都心の自治体には妻が出かけていった。
で、とある区で事件が起こった。窓口で申請し、待つこと約30分。ようやく呼ばれて行くと、職員が、開口一番、謝罪の言葉を口にしたという。
「完全にこちらのミスで……」
と示された戸籍謄本には、移転先として、長野県南**郡とあるべきところに鹿児島県南**郡と記録されている。
「なにぶん、当時はタイプライターで記録していたもので……」
と言われたそうだが、言い訳としては苦しい。何をどう間違って長野県を鹿児島県としてしまったのだろう。30年以上も前の先輩の失態を詫びねばならない窓口の職員には、同情を禁じ得ない。
――と、そんな一連の出来事なのだが、私たちがこれを面白いと思ったのにはワケがある。というのも、義父は長野県から一旦東京に戻り、山口県を経て、最終的に、晩年まで縁のなかった鹿児島県で没したからだ。