下保谷で尾張藩の貸具足が見つかる 赤い円地に「八」2領

西東京市下保谷の旧家で、尾張藩の具足が見つかっていたことが分かった。

見つかったのは、赤い円地に「八」と描かれた具足、2領。保谷駅北口近くの「あらやしき公園」に隣接する高橋敬一さん宅の蔵に長く眠っていた。

鷹狩での足軽の「お貸し具足」

約1ヘクタールの広さの同宅は、昔ながらの屋敷林を持ち、住宅街で貴重な緑を有しているが、所有者の高橋さん自身が90代と高齢のこともあり、緑地保全を目的に市が同地を買い取っている。(※後に「特別緑地保全地区」に指定)

その引き渡しのために蔵を整理したところ、具足2領が姿を現したという。

居合わせた「下保谷の自然と文化を記録する会」会員の高橋孝さんは、見た瞬間に「足軽具足だ」とピンときたという。

下保谷を含む北多摩エリアは尾張藩のお鷹場があり、軍事訓練も兼ねた鷹狩りが行われる際には、100人超の人員がかり出された。

具足はその折に足軽が着用したもので、当地の者に預けておくことから「お貸し具足」とも呼ばれたという。

薄い鉄板製で、うるしが塗布

具足は薄い鉄板製で、うるしが塗布されている。

サイズは約高70センチ×幅40センチ。

「八」の紋は尾張藩を示すもので、尾張の国は8郡から構成されていたことに由来するといわれる。ちなみに「八」の字は現在も名古屋市の市章として使われている。

1領は地元の天神社に奉納

2領とも専門業者の手で手直しされ、1領は昨夏に地元の天神社に奉納された。

もう1領は市に寄贈予定。

同会の高橋さんは「具足自体の価値は特にないが、下保谷から発見された意義は大きい。郷土史を見つめるきっかけになれば」と話している。

X
Facebook
Email

今日のつぶやき

※同じ投稿をX(旧Twitter)でもしています https://x.com/towntsushin

「タウン通信」は東京都の西東京市・東久留米市・小平市と近隣エリアの地域情報紙です。