東久留米市ではこのほど、「武蔵野鉄道引き込み線跡」および「北多摩陸軍通信所跡」の2件を市の文化財に指定した。
どちらも全体の原形が保全されていないため、「史跡」ではなく「旧跡」としての指定。

市民が散策する「たての緑道」として整備
東久留米市や西東京市の辺りには戦時中、中島飛行機関連の工場・施設が点在しており、「武蔵野鉄道引き込み線跡」は、中島航空金属田無製造所と東久留米駅を結ぶために敷設された。軍用機エンジンの部品を作るための材料や、鋳造用の砂などが運ばれたという。1944年の敷設で、稼働した期間は短かった。
現在では、その跡地の大部分が、遊歩道「たての緑地」として整備されている。
具体的には、落合川の南の学園町1丁目の踏切付近から南中学校裏までのほとんどが公有地化され、全長約850メートルにわたる遊歩道となっている。
なお、民有地だが、落合川北側には軌跡の築堤が部分的に残っている。また、落合川に架かっていた鉄橋のコンクリート橋台も見ることができる。

東久留米に軍事施設があったことを後世に伝える
「引き込み線」とは軍用のエンジンを作るための材料を運搬する目的に作られた鉄道の側道で、ここにあった引き込み線の正式名称は「東久留米駅構外線」だった。
現在の東久留米駅周辺は近代的な駅に姿を変えたが、学園町1丁目付近は、わずかにその痕跡が残っており、貴重な戦争遺跡の一つといえる。
同市生学課文化財系系長の上杉ゆりかさんは、「今回市として初めて、”戦争”関連遺跡を文化財に指定しました。かつての東久留米に軍事施設などが存在していたことを後世に伝えていくことが目的です」と話す。
なお、3日 (日・祝)午後2時からは、同市にある大円寺 (小山2の10の1)で「大円寺の防空場見学と講演会」がある。講師は住職で市文化財保護審議会委員の寺本亮洞さん。
また、2月9日 (金)までの午前9時から午後4時30分まで、同市郷土資料室 (滝山4丁目) で企画展示「東久留米にも一あった戦争」を開催。日曜と4日 (月・休) 休館。詳しくは同課 (042・470・7784)
※編集部注:このイベントは終了していますが、地域のアーカイブ情報として公開しています