「はだしのゲン」の中沢啓治さんを追ったドキュメンタリー上映

かつて新座市に暮らし、現在は所沢市に居を構える漫画家、中沢啓治さん(72)を取り上げたドキュメンタリー映画「はだしのゲンが見たヒロシマ」が、6日(土)から26日(金)までオーディトリウム渋谷で上映される(2011年)。

同映画では、広島での被爆経験を持つ中沢さんが、広島市内の思い出の地を巡りながら、当時の様子、思いを語っている。「原爆投下」「終戦」のこの季節、風化しかける戦争や原子力について考えさせられる作品となっている。

「はだしのゲン」作者の中沢啓治さん。©シグロ、トモコーポレーション

母の死をきっかけに原爆への怒りが再燃

中沢さんは、原爆投下後の広島で力強く生きる少年の姿を描いた自伝的作品『はだしのゲン』などで知られる。

幼少期に広島で原爆を体験。目の前で多くの人が死んでいく。父、姉、弟、そして被爆直後に生まれた妹も生後4カ月で亡くなった。

だが、ゲンがよくやるように「カラ元気」で力強く困難を乗り越え、戦後は働きながら漫画家を目指し努力を続けた。その結果、上京後ほどなくデビュー。順風満帆に見えた。

しかし、それからしばらくして長年原爆病院に入院していた母が亡くなった。母の死をきっかけに、抑えてきた原爆への怒りが再燃。それ以来、原爆をテーマにした漫画を執筆することを決意し、メッセージ性の強い作品を精力的に発信してきた。

「『黒い雨にうたれて』を映画化したい」

72歳の今でもまだまだ伝えていきたいことがある。

「自身で初めて原爆を題材にした作品『黒い雨にうたれて』を映画化したいです。また、各地で講演を行って、自分の経験を伝えていければと思っています」

今回の震災による原発事故でも、風評被害を心配している。

「不正確な情報が差別を生みます。学校や国が子どもたちに正しい知識を教えていかないと」

中沢さんは同映画に関し「私という被写体を通して戦争と核兵器のない世界が少しでも近づけばいいと思っています。どうかこの被写体を見て、思いをはせてください」とコメントしている。

上映は連日午前10時30分から。1500円(前売り1200円)。詳しくはシグロ(http://cine.co.jp/)へ。同映画のDVDも先行販売中。

編集部注このイベントは終了していますが、地域のアーカイブ情報として公開しています

※編集部注:中沢啓治さんは2012年12月にご逝去されました

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