自分史の書き方[10] 表現と校正

「技術編」として、4回にわたり取材や書き方について触れてきた。その最終段階として、今回は表現と校正について語ろう。「書く」という作業での最終段階となる、表現、そして校正について考えてみたい。

「推敲」の故事を持ち出すまでもないだろうが、文章というのは基本的に、一旦書いてから「読み返す」「表現を磨く」という作業が伴う。ここをおろそかにすると、表現の未熟さにとどまらず、誤字だらけのひどい原稿になってしまう。

文章のうまい人は一度でビシッと決まった文章を書ける――と思っている人が少なくないが、実際はプロほど読み返す。プロの場合は、さらに編集者の目が入り、校正者のチェックを受ける。自分史では(多くの場合)一人で書き上げるため、より慎重に原稿を見直すことが重要だ。

見直しで注意すべき点

では、どのように原稿を見直したらいいのだろうか。

親族・友人にだけ配る自分史ならばそこまで神経質になる必要はないが、せめて以下の点くらいは注意しておきたい。

【誤字等はないか】

単純に文字が抜けるというミスが意外に多い。例えば、「思いました」を「思いした」など。 

【他者を傷つけていないか】

文章では、無意識に他者を傷つけてしまうことがある。例えば、笑い話のつもりで「そのとき母に死ねと言われ、本当に傷つきました」と書いた場合、母からすれば「なぜ書き残す必要があるの?」と心に傷が残る。

【事実かどうか】

たとえ少部数の自分史でも、事実でないことを断定するのは避けたい。「子どもが10人いた」と「子どもが約10人(例えば9人)いた」は決して同じことではない。

間違えやすいポイントは

最後に、間違えやすいポイントを指摘しておこう。

▼固有名詞〈特に人の名前は、思い込みで間違ったまま書き残す恐れがある〉

▼見出しやキャプション〈本文は読み返しても、見出しの文字を見過ごすケースは多い〉

▼目次〈目次を入れる場合、ページ数がずれているケースが散見する〉

どんなに優れた文章を書いても、誤字があるだけでその信ぴょう性は一気に下がる。神経質になり過ぎてはいけないが、できるだけ正確に書き残すようにしよう。

(文/「タウン通信」代表・谷隆一)


本紙では自分史作成の相談に随時応じています。当社は西東京市にありますが、遠方の方もお気軽にお問い合わせください(TEL:042-497-6561メール)。

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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