個人的には、この一年は、息子の高校受験に振り回された年だった。
受験は大変……とは聞いていたが、体験してよく分かった。高校受験の場合は、子ども自身が思春期の不安定な中にいる難しさも重なるのだろう。頑張っているな! という時期もあれば、何やってんだ、お前! みたいな時もある。
と、まあ、そんな息子は、いよいよ受験校を決める段階にきて、夢と不安とが入り乱れるかなりナーバスな状態となっている。先日は塾の大事な授業をすっぽかした。
これはいかん、と思っていた数日後のこと。夕方に会社まで電話があり、「遅刻して塾に行ったわよ」と妻からの連絡。一瞬、また授業をさぼるのではないか、という疑念が胸をよぎった。
で、慌てて仕事を切り上げ、塾まで様子を見に行くことに。自転車に飛び乗ったが、寒いし、距離は長いし、心がすさんでくる。ひとまずは塾の駐輪場に息子の自転車を認めほっとしたが、苛立ちは消えず帰路についた。
ところが、その途上のことだ。突然、前方の夜空がぱあっと明るくなり、エメラルドグリーンの光の帯がすっと流れて、最後は砕け散るように白い霞を残して消えた。あれを火球というのだろう。生まれて初めて見た。自分が見てきたあらゆるものの中で、最も美しいものだった。
急に心が晴れ、息子の通塾を確認しに出掛けたことをラッキーにさえ思った。息子の遅刻があったからこそ、予告のない流星に、あの瞬間、あの方角で出会えたのだ。
同時に、こんなふうにも思った。くさくさした気分を抱えていても、進んでさえいれば何か輝くものに出会える、と。
皆さま、よいお年を。