ボランティア

発行した本紙「タウン通信」496号の1面トップに置いた記事(記事リンク)は本紙としては長めのものだが、気持ちとしては書き足りていない。

高校生3人へのインタビューは約60分に及んだが、実はそのうちの40分近くはボランティアがテーマとなった。彼らは自分の力でボランティア先を見つけ、そこから今回の講座を企画したわけだが、「ボランティアができるならどこでも良かった」と地域を駆け回る彼らの動機は、私にはちょっと理解しがたいものだった。

お前に社会奉仕の精神が不足しているからだろうと言われれば返す言葉はないのだが、これまでの取材経験からしても、たいていのボランティアは、「貧困家庭を支援したい」「環境保全に役立ちたい」などの思いから始まっている。「何でもいいのでボランティアしたい」というのは「子育てが終わって時間ができた」「元気で体が動くうちは社会貢献したい」などの中高年の話であって、高校生では考えにくい。

というわけで、単刀直入に聞いてみた。

「高校生ってふつう、活動するならバイトとかを考えるんじゃないの?」

その答えがふるっていた。

「お金のせいで、得られないものもあると思うんです」

と青山士紋さん。続けて、「お金を介するとそこで関係が決まってしまう。僕たちが求めているのは人間関係を広げることなので、バイトとはそもそも目的が違います」

もう、ガビーンという衝撃音が頭の中に鳴り響く感じ。そんな質問をした自分が恥ずかしいぐらいなものだったが、彼ら3人が「感謝される度合いが違うと思います」と口を揃えていたのも印象的だった。

とにかく、3人が自然体でいるのがとても良い。高校生たちの自主企画を、ぜひ地域の皆さんで盛り上げてください。

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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