新型コロナウイルス感染拡大を受け、分散登校や臨時休校など小中学校の対応が分かれるなか、西東京市では家からも参加できる「オンライン授業(遠隔授業)」に踏み切っている。どのように行われているのか現場を取材した。

2学期から全校で実施
同市の公立小中学校のオンライン授業は、2学期最初の5日間を準備期間に充て、今月6日から全校で実施されている。緊急事態宣言が解除されるまで継続の予定。
オンライン授業は、市教育委員会が一人ひとりに配付したタブレット端末を用いインターネット回線でつないで行うもので、通常授業と同様に、主にクラスで学習を進める。
基本は国語・算数(数学)・理科・社会と外国語の授業で、学校・学年によっては、体育・音楽・図工(美術)などにも取り組んでいる。
家の通信環境や保護者の仕事の関係等で在宅が難しい児童・生徒は、通学も可能。また、給食は全校児童・生徒分が用意されており、給食だけを食べに登下校することもできる。

上向台小の授業を訪ねると…
8日、上向台小学校を訪ねた。
1日の主な過ごし方は、午前8時35分から「朝の会」、午前中のうちに45分授業が3コマあり、給食を挟んで午後に1コマ、というもの。給食は分散するよう、前後半の2枠に分けている。なお、1年生は当面は対面授業としつつ、オンラインも取り入れている。
同校によると、通学する児童は約3割とのこと。給食のために登校するのは約2割だそうで、ほぼ半数は終日を家で過ごす状況となっている。
授業をのぞいてみた。
6年1組の3時限目。国語の授業で、「四字熟語」が課題となっていた。
「空白のところには何の漢字が入りますか?」
タブレット端末上に、教材となる問題が表示されている。児童が考える時間を待って、教諭が「電子黒板」に答えを表示させていった。
その後、四字熟語をテーマに新たな課題を出し、10分ほど班ごとの話し合いに切り替えた。端末の機能を活用することで、クラス全員とつないだり、数人ごとのグループミーティングを行ったり、各自で調べ物をしたりとさまざまな学習ができるようになっている。
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オンラインだと積極性が変わる子も
授業後に数人の教諭から話を聞けた。複数の教諭が口にしたのは「大きなトラブルは今のところない」「普段の授業ではあまり発言しないのにオンラインでは積極的という子がいて驚いている」「一人で端末に向き合うからか、集中しているのを感じる」といった手応え。
一方で、「全員の状態を把握するのは困難」「通信環境への不安がある」「生活指導はできない」などの課題も挙がった。
導入決断の背景に、1学期の試行錯誤
他市に先駆けて同市がオンライン授業に踏み切った背景には、1人1台端末で情報通信技術を活用した教育を進める「GIGAスクール構想」に取り組み、1学期の間にさまざまな試行錯誤を重ねたことがあるという。近くの公園に端末を持ち出し学校とオンラインでつないだり、公開授業でオンラインを利用するなど、実践を重ねてきた。
同市教育委員会教育部統括指導主事の荒木忍さんは「1学期中の各校の校長・教諭たちの頑張りのおかげで、『やれる』という手応えがあった。学校と児童・生徒とのつながりは欠かしてはならないもの。非常事態宣言下でも安全に学びを続けられる意義は大きいと思います」と話している。
保護者からも「休校とならず安心した」といった声が多いという。
(取材・三好圭子)