安否確認の手段も決めておこう やるべきことと、してはならないこと
もう何年も避難訓練をしていない――そういう人は珍しくないだろう。学生時代に叩きこまれた「まず机の下に!」は浸透しているが、その後どう動くべきかを把握しているだろうか? 大雑把にはなるが、ここで初期行動のイロハをおさらいしておこう。
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先に断っておくが、この後に記載することは東京都発行の冊子「東京くらし防災」と「東京防災」に準じている=下画像。簡潔にまとまっている冊子で、ウェブサイトでも見られるため、ぜひ一読を勧めたい=QR。ここでは、そのエッセンスを紹介する。

まず頭部を守る
ぐらっと揺れた瞬間、まず何をするべきだろうか。大原則は、頭部を守ることだ。
しかし、外出先で被災する可能性も高い。バッグを持っているならそれを頭部に、何もないなら落下物がなさそうなところに身を置くことが急務だ。駅や地下にいる場合は、壁や柱のそばでじっとするのが良い。
ここで注意したいのが、オフィスなどのケースだ。自宅でもあり得るが、キャスター付きの複合機やテレビなどは室内を右に左に転がる恐れがある。机の下に潜っても横から衝撃を受ける可能性があり、注意を払っておく必要がある。
揺れが収まったら
揺れが収まったら、次に取るべき行動は火の始末だ。このとき、慌てて飛び回ると、ガラス片などでけがをする恐れがある。できれば、靴やスリッパなど履物で足を保護したい。
家庭内での発火リスクはガスコンロがほとんどだが、これは、機器を安全装置付きのものにしておけば十分な対策になる。むしろ、発火で注意したいのは、各種電源の操作だ。例えば夜中の被災ならすぐに照明のスイッチを入れたくなるが、これは厳禁。通電火災を招く恐れがある。同じ理由で、ブレーカーが落ちたとしても、触れるのは避けよう。

動かない選択肢
さらに次の行動としては、出口の確保が重要になる。とりわけ、密室にいる場合は要注意だ。トイレや浴室で被災する可能性もあるが、その場合は、できるだけ早くドアを開けて、閉じ込められるリスクを減らそう。また、エレベーター内で揺れを感じたときには、すぐに全階のボタンを押すことが重要だ。
さて、「出口」という観点では、町中で被災したときに意識しておきたいことがある。「動かない」という選択肢だ。大勢の人々が同じ行動を取れば、群衆なだれが起こる可能性がある。
すぐに動きたいという心理の根底には、家族や会社に対し、自分の安否を知らせたいという思いもあるだろう。そこで覚えておきたいのが、災害用伝言ダイヤルだ。「171」に電話をかけると、「1」で録音が、「2」でメッセージを聞くことができる。識別として、自宅や特定の電話番号を用いる。流れとしては、「171」にコール、「1」を押してから「特定の電話番号」を入力して、メッセージを録音するというものになる=下の動画参照。
家族など緊急時に連絡を取り合う者の間で事前にどの番号を使うかを決めておく必要があるので、未着手の人は、すぐにでも共有したほうがいい。
なお、このサービスは平時でも1日と15日に体験利用ができるので、一度は試しておきたい。