楽聖250周年

2020年2月19日

タウン抄

「タウン通信」代表・谷 隆一コラム  タウン抄 

 

今年はベートーヴェン生誕250周年とのこと。テレビ等でもベートーヴェンの曲を耳にする機会が増えている。

音楽史におけるその偉大さについては改めるまでもないが、私自身が持つベートーヴェンの印象は、(こんな言い方は申し訳ないが)、事業家として大成功した親戚のおじさん、という感じがある。

何かの集まりでたまに会う。いつ会ってもエネルギッシュ。その話は最高にドラマチックで刺激的。聞いているうちから、こちらのやる気もメラメラと燃え上がってくる。

「生きているって、素晴らしいな!」

なんて感じで、トドメのところで肩など叩かれようものなら、もう卒倒寸前。「おじさん! どこまでも付いていきます!」みたいな気分になる。

……が、2日も一緒にいると、「いや、おじさん、もういいっす」という気持ちも芽生えてくる。あまりにもエネルギーがありすぎて、こちらが疲労困憊してしまうのだ。

それに比べて、いつでも気軽に一緒にいられるのがモーツァルト。会話も楽しいし、悪ふざけもできる。同時に、話を聞き流しても、さして気にする風もない。月並みな表現だが、気の置けない友人という感じがある。

と、勝手なことをつらつら書いたが、ここでお伝えしたいのは、そんな二人の時代を何となくこの地で感じることができた、ということ。

ご存じの方も多いだろうが、西東京市にはモーツァルト研究の第一人者である海老澤敏さんがお住まいで、そんな縁から、2006年には「モーツァルト生誕250周年記念イベント」が市民参加で盛大に開かれた。あれから14年。そうか、この時間差が、モーツァルトとベートーヴェンの年齢差なんだ。

そんな事実が急に生々しく感じられ、楽聖たちが身近に思われた。地域の文化活動の意義にも、感じ入った次第。

(2020年2月19日号・本紙掲載分から転載)

 

谷 隆一

株式会社タウン通信代表取締役。地域紙「タウン通信」を多摩北部で約10万部発行、ウェブサイトでも地域情報を発信する。著書に『議会は踊る、されど進む〜民主主義の崩壊と再生』(ころから)、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『起業家という生き方』(同、共著)、『スポーツで働く』(同、共著)、『市役所で働く人たち』(同)がある。

2024/11/16

[タウン抄]小選挙区と比例

タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム  先日の衆議院議員選挙の結果を見て、白けた気分になった。本紙配布エリアの結果を見ると、西東京市が入る東京18区と、小平市が入る19区は都内屈指の激戦区で、当選者と次点の得票差がそれぞれ2182票、2464票しかない。ところが、次点の候補者は比例との重複立候補により、両区とも当選を果たしている。地元からたくさんの国会議員が出ることは喜ばしいのだが、正直言って、「この仕組みでは、投票に行く気は失せるわな」とも思った。 もちろん有権者からすれば、惜敗率への影響を及 ...

ReadMore

2024/11/20

【タウン抄】バレーボール

タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム    小4の娘がバレーボールの地域クラブに入った。もともとアニメの影響があったところに夏のオリンピックが一押しとなった。 私自身はバレーボールには知識がなく、観戦経験も乏しい。「ニッポン・チャチャチャ」のイメージくらいしかなかったのだが、小学生の試合を見に行って驚いた。声援が凄まじい。何というか、まるで応援合戦の様相で、子どもも保護者も一緒になって声を張り上げている。 びっくりしたのは、その応援の仕方で、リズミカルな決まったフレーズがある。「流れは ...

ReadMore

2024/10/16

雑感と4ページの件

タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム    前号(2024年9月4日発行・516号)の「新米プレゼント」には、過去最高レベルのご応募をいただいた。「良い企画だ!」とお褒めくださった方もいたが、米不足と重なったのはたまたまのこと。中には「半月もお米を食べていない」「災害用の備蓄米を食べている」と書かれている方もいて気持ちが揺らいだが、そこは厳正に抽選させていただいた。 話はうって変わって、1面掲載の難病のソプラノ・坂井田真実子さんのこと。プレコンサートにお誘いいただき訪ねたが、歌声を聴い ...

ReadMore

2024/10/2

[タウン抄]旅ゆけば勝浦

タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム    この十数年、毎年出掛けている海水浴場が伊豆にあり、今年も7月に出掛けた。が、空いている。 「人出はこれからですかね?」 毎回世話になる海の家のおばちゃんに尋ねると、「いやぁ、海水浴ブームが終わっちゃったみたいで……」とうつむき加減に言う。その方いわく、体に砂が付くのが敬遠され、海離れが起きているのだという。 「最近の人はキレイ好きだから。それに、暑過ぎて『なるべく出掛けないように』なんてアナウンスされるじゃないですか」 と嘆き節が止まらない。 ...

ReadMore

2024/9/4

【タウン抄】オリンピック

タウン抄 「タウン通信」発行人・谷 隆一コラム    また今回も始まった。オリンピックでのイケメン探し。我が家の女たちが競技中継を見ては、「おっ、これはイケメン!」「この子はカワイイ~」と、勝敗そっちのけで騒いでいる。 いや、必ずしも勝敗無視というわけでもない。当然ながらイケメン認定をしたほうに肩入れするわけで、同じ技を決めるのでも、イケメンとそうでない(と認定された)選手とで、反応がまるで違う。イケメンのときは大喝采あるいは落胆なのだが、そうでない場合は「ふうん」と、ほとんど一服の時間と化して ...

ReadMore

編集部おすすめ

1

弱者に優しい社会へ、情報共有を 44歳で肺腺がんステージ4と診断され、2人の子どもを育てながら闘病を続ける水戸部ゆうこさん(50)の企画で、23日㈯㈷に小平市中央公民館で、がん関連の情報を広く伝えるオ ...

2

二十四節気の立冬(7日)と小雪(22日)を迎える11月は、いよいよ冬の始まり。 二十四節気とは、1年を24の期間に分け、それぞれ季節的な特徴を表す名称をつけたものです。 すこし前のデータになりますが、 ...

3

11月23日、市民の企画で 参加者募集中 西東京市と周辺市区を舞台に、時間内にできるだけ多くのチェックポイントを回って得点を集めるイベント「西東京シティロゲイン2024」が、11月23日(土)に開かれ ...

4

ワークショップのお披露目、トークセッションも 誰もが生きやすい社会を目指して、主に映像を用いた地域交流イベントやワークショップなどを行っている「にじメディア」が、11月28日(木)から30日(土)まで ...

5

 27階建て大型ビルの工事現場に、市民の思いを 公共施設が入る予定の工事現場の仮囲いに、小平の未来のイメージ画を飾ろう――。 西武国分寺線・拝島線「小川駅」西口前で建設中の再開発ビルを巡り、 ...

Copyright© タウン通信 , 2024 All Rights Reserved.