東久留米市を巡るならココ!
地域メディア目線で、東久留米市の見どころを選んでみました。
「水と緑の町」を標榜する東久留米市では、川や樹木に触れながら、ゆったり歩けるエリアが多いです。
里山ハイキングに出掛ける気分で、東久留米まで出掛けてみては? 市内には関東最大級という温浴施設「スパジアムジャポン」もあるので、1日散策して、入浴して帰宅——という楽しみ方もいいかもしれません!
日に1万トンの水が湧く里山 「南沢湧水群と落合川」
「水と緑の町」を訪ねるなら、欠かしてはいけないポイントが南沢湧水群です。南沢浄水所に隣接する南沢緑地では、都内最大といわれる日量約1万トンもの水が湧いています。
近くに南沢氷川神社があるので、湧水地から神社あたりまでを散策するのがオススメ。もの静かな一帯を初めて歩いたなら、きっと「都心から30分ほどの場所にこんな素敵なところが!?」の感想を持つことでしょう。
ちなみに、南沢湧水群と落合川は環境省主催の「平成の名水百選」に都内で唯一選ばれており、清流にしか棲まない絶滅危惧種のホトケドジョウが生息しています。
落合川に沿って遊歩道があるので、清流を眺めながらウォーキングを楽しむのも良さそう。運が良ければ、カワセミの姿も見られます。
迷子になるのも愉しい 「柳窪天神社」
便宜上「柳窪天神社」として見出しを立てましたが、オススメしたいのは、柳窪の一帯です。この辺りは旧家が多く、生垣の多い入り組んだ路地は、かつての農村の雰囲気を伝えます。時に迷子になりそうな路地ですが、のんびり散策するには、迷子になるのもまた楽しい、といった風情があります。
ふだんは見学はできませんが、ここには、国の有形文化財に指定されている村野家住宅(顧想園)があり、明治14年建築という薬医門は通りからも眺められます(主屋などが見られる特別見学会は年に数回実施されています)。
さて、このエリアの見どころのハイライトは、柳窪天神社です。神社前には黒め川の水源となる湧水地があり、清らかな雰囲気を醸しています。この湧水は「東京の名湧水57選」にも選ばれています。
天神社前には、1857(安政4)年に建立されたという「梅林の碑」があり、梅と地名とを掛けた「来梅」の文字が刻まれています。「くるめ」の地名に関する最古の資料というので、これもぜひ眺めてみてください。
縁起の良い2~3時間のウオーキング 「七福神めぐり」
最近は各地で七福神めぐりのコースが設定されていますが、東久留米は、市内の寺院だけで完結できるという珍しい土地です。
巡る寺院は5つ。浄牧院(大黒天)、宝泉寺(弁財天)、多聞寺(毘沙門天)、米津寺(布袋)、大圓寺(恵比寿、福禄寿、寿老人)です。
駅から上記の順番で巡ると、落合川・黒目川の遊歩道をぶらつきながら、2時間から3時間(約8キロ)で1周できるコースとなっています。平坦な道でもあり、絶好の散歩コースとして人気です。例年1月の第2土曜日には、年初の縁起もかついでウォーキングイベントも開かれています。
生鮮食品も加工品も! 「東久留米卸売市場」
東久留米市には、多摩北部唯一の地方卸売市場があります。こちらは、基本的にはプロ向けに販売を行っていますが、一般の人も利用可能です。
店舗は、精肉、鮮魚、野菜、加工食品、包装品など約30店。市場と聞くとどうしても気になる「食堂」も、ちゃんとオープンしています。
なお、開場は午前6時15分(日曜日は8時)からで、大半の店がお昼前には閉店します。お出かけは朝のうちがオススメです。大型駐車場を完備しており、隣接する家電量販店(ケーズデンキ)の駐車場に停めることも可能です。
ついでながら、東久留米市にはJA(東京みらい)の地場産野菜等の直売所もあります。この直売所「新鮮館」は、2020年に移転し、東久留米卸売市場と同じ街道(新所沢街道)沿いになりました。車でないと行き来できる距離ではないですが、移動手段があるなら、両者は一本道で気軽に出掛けられます。
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東久留米卸売市場
東久留米卸売市場は、生鮮品、日用品などを扱う卸売業者が約30店集まる市場です。 本来はプロのための物流拠点ですが、東久留米卸売市場では、一般の方も気軽に買い物ができます。 市場ならではの新鮮な食材や大 ...
東久留米駅から富士山を望む 「富士見テラス」
東久留米市内にある唯一の駅・東久留米駅。この駅の西側2階には、その名も「富士見テラス」という、富士山を真正面に望める屋外テラスがあります。
ここから望む風景は、駅からまっすぐ延びる「まろにえ富士見通り」の先に富士山がそびえるという構図で、特に空気の澄んだ冬などは、見応えがあります。関東の富士見百景にも選ばれています。
このテラスが一年で最もにぎわうのが、12月15日頃から25日頃にかけてです(年によって微差があります)。富士山の山頂に夕陽が重なるダイヤモンド富士という光景が見られるためで、写真愛好家らが大勢つめかけます。ダイヤモンド富士は天候にも左右されますが、好条件で見られたときは、はっと息を飲む美しさです。
10万坪の緑豊かなキャンパス 「自由学園」
日本最初の女性ジャーナリストといわれる羽仁もと子と、その夫・吉一が創設した自由学園。当初は豊島区で開かれた同学園は、1925年に東久留米市の土地を購入し、後に約10万平方メートルという広大なキャンパスを設けています(目白には今も当時の学舎「明日館」が残ります)。
当然ながら、学校なのでふだんは部外者は立ち入り禁止ですが、年に数回、フェスティバルなどで公開されることがあり、緑豊かなキャンパスを見学できます。ここにある樹木は、約5000本といわれます。
また、フランク・ロイドの弟子で、同氏とともに帝国ホテル旧本館(通称:ライト館)を設計したことでも知られる遠藤新の設計による数々の建物は、文化的価値が高く、東京都歴史的建造物などにも指定されています。
幼児からシニアまでが通う学校のため、中に入れるチャンスはそう多くはありませんが、機会があれば一見の価値があるキャンパスです。
バチカンも認める国内希少の宗教音楽研究所 「聖グレゴリオの家」
自由学園同様、ふだんは出入りできる場所ではないけれども、公開されるチャンスにぜひ訪ねてみたい場所として「宗教音楽研究所 聖グレゴリオの家」を紹介します。
東久留米駅から徒歩で訪ねる場合は、雑木林を抜けていくという、ロケーションからして神秘的なこの施設。祈り・研究・教育の3つを柱に伝統的な宗教音楽に取り組む機関です。
私設のもので、東久留米市にあるのは「静かなところに拠点を構えたかった」という理由から。地域とのつながりも意識しており、折々、無料ないし安価のコンサートなども実施しています。毎週日曜日のミサも公開しており、正統なグレゴリオ聖歌に触れられる機会にもなっています。
コンサート情報などはホームページで告知されているので、興味のある方はチェックしてみてください。
(記事はこちら)
イートインも充実する 「イオンモール東久留米」
市外の人を地域に呼び込みたい―—そんな狙いもあって、市が主導して地域に招いたのが「イオンモール東久留米」です。
モールとイオン東久留米店の2つからなる大型ショッピン施設で、モールに入る専門店は120店以上。ファッション、雑貨、食料品など、さまざまな買い物が楽しめます。
このモールの特徴の一つは、モノだけでなく「コト」も重視している点。象徴的なスペースとして3階のフードコートがあり、ここはゆったり落ち着ける席や眺望の良い席などが多彩に設置されています。
多摩地域唯一の大名のお墓 「米津家墓所」
米津家の墓所は、多摩地域唯一の大名家墓所です。その知行地であった東久留米市の米津寺に墓所が設けられています。東京都指定史跡です。
ちなみに、米津家の読み方は「よねきつ」家。一方、お墓のある米津寺は「べいしんじ」です。
この米津寺は、前述した七福神めぐりにも含まれる古刹ですが、徳川家康の江戸入府に伴って移ってきた米津家らによって開山されたもので、当初から米津家の菩提寺に位置づけられていました。
代々の墓は、笠付きの六角塔で、形状が珍しいとされています。
なお、寺院自体は1889(明治22)年に火災に遭っており、往時の姿を失っています。
埋もれた地域の戦跡 「北多摩陸軍通信所跡」
最後に戦跡を紹介します。
地元でも知らない人が多い旧跡として、北多摩陸軍通信所跡と海軍大和田通信隊跡があります。
この2つの通信施設は、戦時中、外国無線傍受のために設けられました。
陸軍・海軍の両施設が隣接していたのは、独自調査の結果が重なったから。つまり東久留米は、通信施設を設置するのに最適な場所だったわけです。
それらの事情を書き出すと数千字が必要になるので思いっきり端折りますが、無線傍受という性格上、施設には秘密が多く、かつ、終戦後はほとんどの敷地が民間に売却されたため、これだけの重要施設がありながらも、東久留米ではその存在が忘れられていきました。
現在では、新青梅街道と小金井公園が交差する「花小金井四丁目」交差点の北側にある前沢南公園が、わずかにその敷地を平地のまま残しています(公園内に旧跡の説明板があります)。
ついでながら、隣接市になりますが、清瀬市の南部には気象庁の「気象衛星通信センター」があります。こちらは、海軍大和田通信隊の副受信所だったところです。