ワケ分からん

中間テストを前にした中学生の娘が、イヤホンを耳に入れながら勉強している。むろん、ペンケースの横では、スマホの画面が煌々とフル稼働だ。

「ねえ、勉強するときは一つのことに集中したほうがいいよ」

やんわり小言を挟むと、「めっちゃ、集中してるよ!」と来た。

「スマホ見ながら集中できるわけないじゃん!」

こっちもやや感情的に言い返すと、「だって、一緒に勉強してるんだもん」と画面を突き付けてくる。見て驚いた。同学年くらいの女の子が、確かに机に向き合っている。

「……誰?」

オンラインで繋がっているものと思い、慌ててヒソヒソ声で話すも、娘は遠慮なく大声で「よく知らない」と言ってくる。

「知らない人と一緒に勉強してるの?」

と覗き込むと、なんと画面はユーチューブだった。私はまったく知らなかったのだが、一緒に勉強するというコンセプトの動画が世の中には溢れているのだという。

ものの解説によると、勉強時の孤独感を和らげてくれるらしい。また、「自分もやらなきゃ」というモチベーションアップになったり、オン・オフのめりはりができるなど、メリットは少なくないという。

しかし、こんなものが世の中にあるとは、と心底驚いた。見るほうも見るほうだが、これを最初に出した人は企画力が途轍もない。恐らくは自然発生的に広まったものがだんだん洗練されていったのだろうが、ともあれ、こういうものを見せつけられると、何が受けるのか分からなくなる。だって、ただ勉強しているだけの動画が何十万回と再生されているのだから。

前号で触れた通り、私もユーチューバーとなってしまったのだが、いやはや、この世界は本当に奥が深い。

タウン通信YouTubeチャンネル

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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