公民館講座から導くプロに
その人の目標達成をサポートするコーチングおよびキャリア・コンサルティングのプロ。成蹊大学・文教大学でのキャリア指導や、企業などでの研修、さらに個人のクライアントも持つ。
コーチになる始まりは、子育ての迷いのなかで受講した公民館での保育付き講座。現在、飛躍のきっかけとなった西東京市ひばりが丘公民館で、いわば恩返しの連続講座を受け持っている。

保育付き講座に「行まくった」日々
「その言葉遣い、まるでヤクザだねぇ」
子育てを手伝いに来てくれた母親の一言にはっとした。若くして社会に出る前に出産。「消費するばかりで、大人としての自己肯定感を持てない」焦りとイライラから、わが子に当たり散らして汚い言葉を吐いていた。
子どもを介さない大人とのつながりを求めていたとき、公民館が保育付き講座を開いていることを発見。稼ぎのない身には夢のような場所に見えて「行きまくった」。
少しずつ閉塞感が緩和され出したあるとき、講座で出された「5年後の自分を想像しよう」の課題に「ただ人の話を聴く」と書いた。自分自身がいちばん求めていたことだったのかもしれない。
「結局その思いが今のコーチングの仕事につながっているのです」
コーチングを学び、子どもとの関係が劇的に変わった
コーチングは対話を重ねながら、相手の自己実現をサポートする技術。新聞記事で偶然その存在を知り、「もしコーチを仕事にできなくても、その技術を知ることで子どもへの関わり方を変えられるなら」と3年間の専門課程を終え、それを元に活動を広げていった。
出発点となったわが子との関係は、コーチングを知ることで劇的に改善。「子どもをコントロールしたがる母でしたが、手綱を手放せたのです。それによって私も楽になり、子どもたちは自分の意思を適切に伝えられる大人になりました」
そんな大切な二人の娘は、この一年のうちにそれぞれ一児の母に。娘と孫の姿を見ながら「子育てって尊いことなんだなぁ」と改めて思いを深くし、学び始めたころの原点を思い出している。
「コーチという職業がなくなる社会になったらいいなと思います。家の中で互いを思う対話がされて、自然と思考が整理され、その結果、それぞれの目標が達成されていく。家に帰ったら元気になれる――そんな家庭が増えることを願いながら、多くの人にコーチングを伝えていきます」
◆いしかわ・りつこ 1972年、埼玉県所沢市出身、西東京市在住。成蹊大学・文教大学非常勤講師。コーチングおよびキャリア・コンサルティングを行う「プロ・サポーターズ」代表。資格として、生涯学習開発財団認定マスターコーチ、厚生労働省認定2級キャリア・コンサルティング技能士、キャリアコンサルタント(国家資格)、公認心理師ほか。問い合わせは同社(ishikawa@pro-supporters.com)。
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