地域が砦

今年は、数年前から問題提起されていた「2025年問題」の当該の年となる。国民の5人に1人が後期高齢者となるわけだが、一方で、直近の報道で、24年の出生数が過去最少の70万人以下の見込みとも伝えられた。

経済的に楽観視できる状況なら鷹揚に構えてもいられようが、現実は円安・物価高が続き、一人あたりGDPは韓国に抜かれ、モノづくりでもIT産業でも旗印は見当たらない。このまま日本はどこに行くのだろうか。

年始早々から暗澹たる気持ちになるが、やはり私の立場では、地域で踏ん張っていくしかない。

光明はある。

昨年公表された、西東京市立第三中学校の複合化の方向性が興味深かった。保育園、児童館、集会所、地域包括支援センターなどが中学校と一体化している(※構造案は幾つかあり、確定していない)。安全面などの課題はあるが、地域の人々が日常的にすれ違う仕掛けは子どもたちの成長や高齢者の生きがい創出において奏功するだろう。

つい先日、同市にできた「ONE FOR ALL西東京」も、医療と文化の複合施設で、違う目的を持った人々が地域の中で行き交うことが企図されている。

ネットによって意外にも人々が分断されるようになった今、リアルに多層な人々が触れ合う場として、ある意味では地域が砦となっている。人口減少などによる結果か、意図的なものなのか分からないが、こうしたトレンドは歓迎したい。

見たいものだけ見られるネットの世界は居心地が良いが、そこにとどまっては収斂してしまう。新たな出会いにつながる地域情報にご注目を。皆さま、本年もよろしくお願いします。

[リンク]

◎西東京市 田無第三中学校複合化等の方向性ONE FOR ALL西東京

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文化と医療の交差点 ONE FOR ALL西東京

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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