市長選挙と予算案

どう考えれば良いのか分からず、読者のご意見をお聞きしたいことがある。予算案のことだ。

この時期、どの自治体も新年度予算案を審議しており、議会前にはその内容が記者会見で公表されている。例えば、西東京市では、この号の発行日(2025年2月19日)に記者会見がある。

同市の場合は先日、池澤隆史市長が再選したのでよいのだが、私が戸惑っているのは、小平市の予算案だ。小平市では新年度早々の4月6日に市長選挙が予定されており、すでに現職の小林洋子市長が立候補を表明している。出馬表明した現職として当然なのかもしれないが、小林市長は今月5日に予算案を公表し、「防災やDXに重点を置く、自分の政策を打ち出した予算案だ」と胸を張った。

ただ、あくまで仮にだが、この予算案が通り、4月早々の選挙で市長が代わった場合、新市長は就任1年目に自分のカラーを打ち出しにくくなる。補正予算で新規事業の追加はできるだろうが、確定した事業を止めるのは容易ではないだろう。

思い出すのは、小林正則前市長が退任した4年前で、このときは「自分は立候補しない」ということから、必要経費などを盛り込んだ骨格予算を組み、新市長が就任後に補正予算で独自事業を進められる余地を残した。

賢明なやり方と感じたが、それを現職に求めるのは酷というものだろうか。現職とすれば、予算案で意気込みを示す必要もあるのかもしれない。

とどのつまり、問題は選挙日程にあるともいえる。年度の切り替え時に市長選挙があることを、どうにかできないのだろうか。

蛇足ながら、予算とは話がずれるが、東久留米市の市長任期も個人的には問題と思っている。同市の市長の任期は12月27日までで、新市長の就任日は仕事納めの日と重なる。法律上、市長は市民・居住者でなくても就任できるわけで、職員との顔合わせも十分でないなかで正月休みに入るのは危機管理上の不安が残る。正月の発災だってあり得るのだから。

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谷 隆一

「タウン通信」代表。多摩北部にて、2008年から「タウン通信」を発行。
著書に、『中高生からの選挙入門』(ぺりかん社)、『議会は踊る、されど進む~民主主義の崩壊と再生』(ころから)ほか。
当コラムは、地域情報紙「タウン通信」で掲載した原稿を転載したもの。

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