市民がデザインした新キャラクターもお披露目
小平市、東大和市、武蔵村山市のごみ処理施設「小平・村山・大和衛生組合」(小平市中島町)で、6月7日㈯、新しいごみ焼却施設の「火入れ式」が行われた。
玉川上水などの緑地と調和する造りや、電力の地産地消、AI活用による効率的かつ安全な運転などが特徴の新施設。
「火入れ式」では、市民がデザインした新キャラクターも「えこりん」「くるんた」も紹介された。

試運転のうえ、10月1日から本格稼働
新ごみ焼却施設は、稼働中の焼却炉の老朽化に伴い新設されたもので、小平市・東大和市・村村山市の3市の約35万人から排出されるごみの1週間分をためられる規模を持つ。1日の焼却能力は236トン。既存のごみ焼却施設の処理能力は3炉で1日・360トンだったが、ごみの減量化や人口減少に伴い、効率化が図られた。
新施設では、6月12日㈭からごみを受け入れ、19日㈭から焼却を開始。稼働に異常が生じないかを慎重に確かめたうえで、10月1日からの本格稼働となる。燃焼し続けたほうが効率的なため、基本的には24時間フル稼働となる。
なお、施設内に憩いのスペースを設け、施設見学なども受け入れる予定だが、現在の施設の解体工事があるため、一般に向けた開放は3年後の2028年4月を予定する。

周辺環境に調和する建物
新施設は環境や防災を考慮した造りで、玉川上水に隣接することもあり、周辺環境との調和を重視して、高層化を避けた。現在稼働する焼却施設の建物の高さが22.6メートルのところに対し、新施設は21.8メートルに抑えている(煙突の高さは59.5メートル)。
これを実現するために、地下23メートルまで掘削し、前述の規模のごみピットを設けた。また、災害時などに大量のごみを受け入れる可能性があることから、ごみ投入口は大型車も稼働できる高さを確保している。
建物自体も輪郭と隆起を緩やかな曲線にし、緑化も図る。玉川上水の散策路から自由に出入りのできる「よりみちパーク」「コミュニティ広場」なども設ける予定。焼却施設では焼却熱による発電ができることから、これらのエリアは、災害時に避難者へのサポートや復旧拠点となることも想定する。また、周辺環境への配慮から、臭気の吸引設備なども設けられた。

電力の地産地消 3市の公共施設へ電力供給も
発電に関しては、日常的には3市の公共施設への供給も行う。
高効率発電ができる設備で、環境省が定める同規模施設の発電効率は17%以上というなか、新施設では23.9%を見込む。高温高圧ボイラにより、より多くの熱を蒸気として回収し、発電効率を向上させる。
具体的な発電量は、年間電力量3500万kWh(キロワットアワー)を想定。そのうち、1000万kWhを同施設の電力に当て、残った1500万kWhを東京電力へ売電、さらに1000万kWhを小平市・東大和市・武蔵村山市の3市の市役所や小学校などの公共施設に供給する。小平市29施設、東大和市13施設、武蔵村山市9施設の1年間の電気量に相当する。
なお、最新鋭ということではAIの活用も特徴的で、例えば燃焼ムラを抑えるためのクレーンによるごみ攪拌などは、これまで手動で行ってきたものを自動制御する。また、委託業者による遠隔監視や、万一の事故の場合の遠隔からの緊急対応の態勢も整っている。
(※下動画は、火入れの様子。関係者がモニター越しに着火の様子を見守った)
緑の存続願って、キャラクターデザイン
この新施設のお披露目となった「火入れ式」では、3市の市長や関係職員らが参加し、市長たちが着火ボタンを押すセレモニーなどが行われた。
また、公募118点から選ばれた新キャラクター「えこりん」「くるんた」のお披露目も行われた。可愛らしいデザインの「えこりん」は、ごみの正しい出し方を啓発するキャラクター。「くるんた」は、リサイクルを推進するキャラクター。
このキャラクターをデザイン・命名したのは、同市在住のイラストレーター・梶原由加利さん。5年前に小平市に転入してきたという梶原さんは、キャラクターに込めた思いを「周囲の緑地環境が素晴らしく、このまま残していってほしい。より身近に感じられるように、親しみやすいデザインにしました」と話す。


粗大ごみ処理施設などもリニューアル
小平市中島町の同所でのごみ処理は1960年から行われており、これまでに施設のリニューアルが幾度か行われている。一般的に、ごみ焼却施設の使用目安は30年とされている。
そのほか、同組合では、2019年に資源物中間処理施設(エコプラザスリーハーモニー)、2020年に不燃・粗大ごみ処理施設も新設されている。
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