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東久留米の駄菓子店「だがしやかなん」がオリジナルかるた発行

2021-03-09

東久留米市の閑静な住宅地にある駄菓子店「だがしやかなん」が昨年11月、開店5周年に合わせて、多世代の常連らと店オリジナルの「だがしやかなん かるた」を作った。

《いつまでも 必ず続けて だがしやかなん》《わすれもの いつも携帯 探す店長》——など、同店への思いやエピソードを詰め込んだ46札。

そんなユニークな制作を行った背景には、新型コロナウイルスにより臨時休校になった子どもたちとの交流を通して、同店がさまざまな世代の居場所になっていることを再確認できたことがあった。

作成したオリジナルかるたを前に微笑む山永和子さん

店主の山永和子さんは、多世代食堂など地域活動に幅広く取り組んでいる。「だがしやかなん」は「多世代の居場所を作りたい」との思いから、駄菓子店のある店舗を「ぷちコミュニティハウスとびら」とし、コミュニティをシェアする場を提供している。

制作に込めた思いや秘話を聞いた。

山永さんインタビュー  「61人のゆかりのある方たちと7カ月かけ制作」

——制作のきっかけは?

「昨春の緊急事態宣言のときに、お店の一時休業を決めたんですね。
そのとき常連だった高校生たちから猛反対を受けました。

『俺たちのいられるところがなくなっちゃうよ!』『もう終わった!』——と。
そこで、まずは4月4日にLINEグループ「自粛しながら楽しむ会」というのを作り、毎朝9時にLINEビデオチャットでラジオ体操をすることにしました。

みんなが繋がることは大事だし、何より昼夜逆転の生活がいちばん怖かったんです。子どもたちはもちろん、私も。
ラジオ体操にはさまざまな世代や親子まで参加してくれました。でも、一方で、LINEで『暇だー』『やることがないー』と訴えてくるんです。

そこで、『それなら、それぞれ離れた場所でもみんなでできることは何だろう?』と考えたときに、瞬間的にひらめいたのが『かるた』でした。以前、東久留米まちづくりサポートセンターで『東久留米かるた』を作った経験があったので。

常連の高校生たちは即答でやりたい! と賛同してくれて、あっという間に『かるたプロジェクト』なるものが発足しました。それが翌日、4月5日のこと。子どもたちのエネルギーって本当にすごいものがありますね」

——絵札はバラエティがあり、印象的です。

「読み札は元スタッフや、中学生、高校生などの常連に振り分けて半月で作りました。

46枚の絵札は多世代の方に描いてもらうことにしました。SNSで呼びかけたり、個人的にお願いして最終的には、総勢60人以上の人がボランティアで協力してくれて、子どもたちの手描きのほか、スマホやパソコンでの作成したもの、プロとして活躍している方の作品等、たくさんの絵札が揃いました。

最初の構想では、絵札をA4用紙にコピーし、ラミネート加工してそのまま大きなかるたにするつもりでした。ところが、届く絵があまりに素晴らしかったんですね。それで、『これはちゃんとかるたにしたい!』『商品にしたい!』と思い直したのです。

ちょうど11月1日は『だがしやかなん』の5周年だったので、多少コストがかかっても、それに合わせて作ることに決めました。

『ぷちコミュニティハウスとびら』のイメージカラーであるターコイズブルーを基調にしたかるたの箱は、知り合いのデザイナーがデザインしてくれました」

——とはいえ「コロナ」による緊急事態宣言が発令されていた時期。一筋縄ではいかなかったのでは? と想像されます。

「できるだけ直接会うことは避けたい時期だったので、作品の引き取りには少し手間がかかりました。郵送だと送料の負担も出てしまうから、家の前に置いてもらって取りに行ったり、『だがしやかなん』の前に置いてもらったりしました。

途中から学校の課題が一気に出て子どもたちが急に忙しくなり、なかなか絵が集まらなくなった時期もありました。
直接会えれば励ましたりの声がけもできたと思いますが、会話ができないもどかしさみたいなものを感じましたね。

また、著作権の関係で描き直しが生じたものが5つくらいあり、『子どもたちには学校の課題もあるのに、描き直しを頼んで良いのだろうか……』と珍しく弱気になりました。

でも、最終的には、『みんなで一緒に一つのことを成し遂げる。形にする』という思いが勝りました。

みんなと約束したし、楽しみにしている人たちがたくさんいる。何より私自身、『だがしやかなん』に来てくれる子どもたちのためにも、『何があっても完成したい』という思いが強かったです。

5周年を迎える『だがしやかなん』の歴史を残したいという気持ちもありました」

だがしやかなんの日常や店長の山永さんの様子を描いたかるた。山永さんからの感謝の気持ちも読まれている

——そんな強い決意のもと、7カ月で完成したかるた。コロナ禍において「かるた」はどんな意味があるのでしょうか。

「完成したかるたの箱を開けた瞬間は、『うわー!』と感激でした。とにかく可愛い!本当に可愛い!と(笑)ものすごい達成感でしたね。そのときの私は、うれしさで光り輝いてみえたと思いますよ。

1枚1枚読み札を改めて読んでいると、応援されていることがじわじわと伝わってくるんです。ここでのイベントの思い出やちょっとした日常、私のことなどを書いてくれていて、たくさんの人たちに支えられて今があることを実感しました。

『あなたとね 出会えて僕は幸せだ』なんていう読み札もあるんですよ。常連の高校生が考えてくれたんですが、涙が出るほどうれしかったです。

身近に感じていた著名人の方々が亡くなり、『コロナ』で一瞬にして命が奪われてしまう現実に直面して、一気に不安が高まった気がしています。

いつ、何が起きるか分からない。明日はどうなるか分からない。でも、そんな不安に負けちゃだめだと、子どもたちだけでなく自分自身にも言い聞かせていました。

クリエイティブな作業に携わることで不安を忘れることができましたし、『コロナ』が収束したら、いつかみんなで集まってかるたをやろう! と決めて、そこに希望を見出していましたね。

一致団結して共有した時間の濃さはすごかったと感じています。『コロナ』で全部閉ざされてしまったけれど、それでも楽しいことを考えて形にして産み出していく、錬金術ですよね」

——かるたは「だがしやかなん」5周年の当日11月1日、小平市東部公園で開催された「みんなデパート」で初お披露目となりました。「かるた対決」と銘打ったブースは、大勢の参加者があったそうですね。 

「形にするって本当に大事だなあと思いました。商品にしたことによってすごく広がったし、自分がやってきたことがはっきりと見えてきて、いろいろな人たちに『だかしやかなん』ってこんなところよ、というのが伝えやすくなりました。

私の呼びかけに応えてくれた人たちに、本当に支えてもらいました。

『コロナ』で立ち止まったことでできたと考えると、決して悪いことばりじゃなかったと思えてきます。

当面の願いは、体育館で思いっきりかるた取りをすること。原画を拡大コピーして、大きな絵札目がけて、子どもも大人も一緒になって走り回る大会を考えています。以前、『東久留米かるた』でやったことがあり、大盛り上がりだったんです。

これからも、『だがしやかなん』から幸せの連鎖を起こしていきたいです」

まちづくり、人生相談なども

山永さんが「だがしやかなん」を運営するのは、「わが街の子はわが街で育てる」の思いから。

公立学校でのボランティア活動や、まちづくり活動などを経てきた山永さんは、「地域の人や子どもたちがふらりと集まり愚痴などを言える、そんなほっとできる場を作りたい」と2015年に「だがしやかなん」をスタートしている。

そんな山永さんは、「ぷちコミュニティハウスとびら」を、

・子どもたち向け自習室
・シェアスペース&キッチン

などで活用するほか、

・小さなフリースクール・ひきこもりの方の居場所
・仕事や子育ての悩み相談(かなんyorozu相談)
・つながりの場をつくるセミナー開催

など、多彩な活動を行っている。

4月に始めたLINEラジオ体操も、最初の3人から、2カ月後には20人以上、家族単位で参加されるほどになったという。また、昨年3月にやんちゃだった中学生が高3になり顔を出してくれて、「20歳になったらここ(『だがしやかなん』)で一緒に乾杯しよう」と言ったことも。山永さんがいかに子どもたちに愛されているかが分かるエピソードだ。

「だがしやかなん」の内観。駄菓子が多数並ぶ

1セット3000円で販売中

かるたは「だがしやかなん」で、1セット3000円(税込)で販売している。

山永さんの「顔を見て、手で渡したい」という思いがあるので、基本的には来店をお勧めしているが、遠方などで事情のある方には郵送も可能とのことだ。

気になる方は、まずはお店に連絡を。

だがしやかなん
東京都東久留米市幸町1−5−23
042-453-0048
◎公式サイト https://to-bi-ra.com/kanan

【リンク】

◎だがしや かなん

西東京市の市民課がより便利に! 事前予約10/1~

2026-09-17

西東京市の市民課窓口がより便利に!

10月から、来庁の予約ができるようになります。
予約受付は9/24~。

また、マイナンバーカード関連の専用窓口を開設するとのこと。

ちなみに、東久留米市も10月から市民課・保険年金課の窓口事前予約をスタートします!

#西東京市 #東久留米市 #窓口予約 #マイナンバーカード手続き

さくらジュニアオケ演奏会 27日㈰、小平の高齢者施設で、無料

2026-09-16

小平市を拠点に活動する「さくらジュニアオーケストラ」の演奏会が、27日㈰午後2時から、同市の高齢者施設「プラチナ・ヴィラ小平」(鈴木町1の85の1)で開かれる。

子どもの居場所づくりに取り組んでいる「こだいら・自分らしさ学びの広場」が招いて実施するもの。同会では普段、日曜日に同施設を会場に誰でもふらりと寄れる場を設けており、今回、子どもたちに生の音楽に触れてほしいと企画した。

鑑賞無料。詳細は近藤さん(ns500m0803@gmail.com)へ。

➡Instagram「こだいら・自分らしさ学びの広場」

認知症支えて30年 「西東京ゆとりの会」が記念の集い

2026-09-16

認知症の家族会「西東京ゆとりの会」が今月、発足30周年を迎え、9日に記念の集いを開いた。

現在介護中という人から、すでに認知症の家族を亡くされた人まで約30人が参加。市の担当課や地域包括支援センターの職員、山田病院の認知症認定看護師らも駆け付けた。認知症の妻と参加する男性の姿もあった。

集まった会員や関係者たち

同会は、当時の田無保健所の主導で「家族交流会」として発足。認知症という言葉もない時代で支援体制が乏しいなか、精神的に支え合ったり、情報交換の場として役割を果たしてきた。名簿を作り始めた2002年以降で164人が登録している。現在の会員は40人。

発足時から会に関わってきた現会長の田村賀代子さんは「気付けば30年。ここで立ち止まらず、今後も一人でも多くの方をサポートしていきたいです」と話している。

なお、30周年に合わせて記念文集を作成しており、同市の各地域包括支援センターで閲覧できる。

30年、会に関わり、現在は会長を務める田村賀代子さん(左)と谷恭子さん

Nゲージ愛好家、集まれ! 9/26㈯、西東京市柳沢でサークル活動

2026-09-16

広い場所がないと存分にできないNゲージ(鉄道模型)を思いっきり走らせよう!――9月26日㈯正午から午後6時まで、西東京市柳沢の集会所(都営柳沢二丁目第二アパート17号棟 1階)でNゲージの「運転会」が開かれる。車両持ち込み歓迎、見学だけでもOK。

日頃から鉄道をテーマに、情報交換やNゲージ制作・作動を楽しんでいるサークル「柳沢鐡道」のイベント。今回、安定して活動できるようになったコロナ禍後で10回目の節目とのことで、新規参加者も募っている。参加無料。

詳細は同会(hosupi_okumoto@yahoo.co.jp)へ。

➡柳沢鐡道

[この町この人]トランペット奏者・塚本義成さん

2026-09-14

(下部に動画あり)

美空ひばり、八代亜紀、吉幾三、サラ・ブライトマンらのバックバンドを務めたほか、ミュージカルのオーケストラなどで活躍してきたトランペット奏者。

60代になった今は、観客を目の前にした小ステージや時には招かれた家で、自分の演奏を届けることに注力している。

10月11日㈰には、15年ほど前から暮らす地元・西東京市の保谷こもれびホールで、自ら率いる「アンサンブル・ドリーム」による「オータム コンサート」を開く。



3歳でピアノを習い始め、文字の前に楽譜を覚えた。トランペットとの出会いは小学5年生の時。学校で楽団結成があり、その選考時に一発目で音が出た。

中高と吹奏楽部に所属し、当時、吹奏楽に実績のあった国立音大へ。正統なクラシックを学ぶ傍ら、ジャズに傾倒し、幅広い音楽に触れた。これが良かった。

「プロは、現場で初めて楽譜を見せられ、顔を合わせたばかりのメンバーとセッションすることがほとんどです。『楽譜も読めて、アンサンブルも理解している』ということで、よく声を掛けていただきました」

弱冠25歳にして、大御所・美空ひばりの専属バンドにも参加。トランペットはバンドの真ん中に位置したため、当時の美空ひばりの歌唱映像には、たいてい自身の演奏姿が映っている。

「直接話せる立場ではなかったですが、コミュニケーションなんて不要なくらい歌唱力がすごかった。リハーサルもなく、本番一発なんですが、バンドが自然と引っ張られていくのです。世界屈指の歌手のバンドも務めましたが、私の中ではひばりさんが一番ですね」

昭和歌謡、ミュージカルとさまざまなバックバンドを務め、なかなか家に帰れないほど全国をツアーで巡った。

現在は、そんなハードな第一線から引き、自分の音楽を届ける活動に切り替えている。

「美空ひばりやレ・ミゼラブルなど『誰か』を見にくる方に向けて演奏をしてきましたが、これからは塚本義成のトランペットを聴きたいという方に吹きたいのです」

実際、直接感想を言われることが多く、これまでなかった経験に、やりがいを新たにしている。

■つかもと・よしなり 岐阜県出身、1985年 国立音楽大学卒業。88年から美空ひばり専属プレイヤーとして東京ドーム不死鳥コンサートなどに参加。現在は、「夢音宅配便」と題した懐かしの名曲コンサートをイベントやホームパーティーなどで披露する活動を行っている。

➡夢音宅配便~懐かしの名曲コンサート
    

#タウン通信 #トランペット #塚本義成 #こもれびホール

練馬に、逸品イチゴのジェラートやパフェを提供する店がオープン

2026-09-14

本日オープン!

練馬区三原台に、自社農園で収穫したイチゴを使用した
・ジェラート
・パフェ
・スムージー
・グルテンフリーの米粉バウムクーヘン
などを提供する
「Ichigo Tokyo(イチゴ トーキョー)」が9/14(月)にオープン。

同園のイチゴは、今春のフランス・マクロン大統領を迎えた晩餐会にも並んだという逸品。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000190472.html

#イチゴ トーキョー #カトウグリーンファーム #加藤農園

武蔵野大学建築デザイン学科の学生が、最優秀賞受賞! 10月下旬にワークショップ実現へ

2026-09-14

祝・最優秀賞!

西東京市にキャンパスのある武蔵野大学工学部建築デザイン学科・伊藤泰彦教授ゼミの学生が、「子どものまち・いえワークショップ提案コンペ」(日本建築学会)で最優秀賞受賞!!

段ボールの家を被ってまちを歩き、子どもたちが自分の居場所を見つける体験を提案するというユニークな企画。
題して「家どかり(やどかり)」。

10月下旬に、受賞した提案を実現するワークショップを開催するそうで、現在、商店街などに掛け合っているところだとか。

これは面白いワークショップになりそうですね!

#家どかり #武蔵野大学

9/20、清瀬聖母教会でコンサート

2026-09-14

フルート奏者の桂綾子さんからご案内いただきました!

9/20(日)、清瀬聖母教会礼拝堂で、フルートやオルガン、リコーダー演奏など。

「音楽と絵画と物語による 聖フランチェスコ 没後800年記念公演」。

午後2時から、入場無料。

詳細は同教会へ。
TEL:042-493-7472

#清瀬聖母教会 #教会コンサート 

ゲーム感覚で、東大和市の魅力を体感! 10/12、ロゲイニング

2026-09-14

狭山丘陵に設定されたチェックポイントを制限時間内に巡ろうという「狭山丘陵ロゲイニング」が、10/12㈪㈷に開催されます。

東大和市の主催で、先着順380人。参加は無料。

詳細は同市ホームページご参照を。
https://www.city.higashiyamato.lg.jp/bunkasports/event/1003707/1011086.html

#東大和 #狭山旧臘ロゲイニング #ロゲイニング

田無ジャズ研究会主催、増渕英紀の酔いどれトーク

2026-09-14

田無ジャズ研究会から、9/26に西東京市柳沢公民館で「増渕英紀の酔いどれトーク・ショー」のご案内をいただきました!

音楽評論家の増渕さんが、世界の音楽を語りつくすというプログラム。
入場料500円。19時~。

お問い合わせは同会へ。
ec4439@yahoo.co.jp

#増渕英紀 #田無ジャズ研究会 

職業能力大の今村遼さん、技能五輪に出場!

2026-09-11

小平市ゆかりの日本代表選手!

職業能力開発総合大学校の今村遼さん(電子情報工学専攻)が、「技能五輪国際大会・ソフトウェアテスト職種」の日本代表に!

中国・上海で22日に開会となる大会で、実務に即したソフトウェアのテスト能力を競い合うとのこと。
この競技は今大会新設のものです。

(小平市・プレスリリースより)

#技能五輪 #今村遼 #職業能力大 #職業能力開発総合大学校

[アーカイブ]世界最北にマイホーム グリーンランドに暮らす 大島育雄さん

2026-09-09

※編集部より 大島育雄さんの訃報に際し、2009年1月に掲載した記事を改めて公開します。東久留米市出身、清瀬市育ちとのことで、帰国時にインタビューさせていただきました。ご冥福をお祈りします。


世界最北の村、グリーンランド・シオラパルク村(北緯77度47分、西経70度46分、北極点まで約1300キロ)に暮らして35年。

隣町まで60キロ、海に面したわずか60人強の村で、クジラやセイウチ、アザラシ、鳥などを獲る猟師として生きる。

現地の女性と一男一女をもうけ、今は孫が7人。北極点に立った最初の日本人の一人でもある。

グリーンランドに行ったのは、日本大学に在籍中、山岳部に所属したのがきっかけ。同部はかねてグリーンランド冒険に力を入れており、文献の整理などでその研究にかかわった。20代前半で生き方を迷い、「アフリカでもどこでもいい。とにかく外国に行きたい」と思いを募らせたとき、グリーンランドを選んだのは自然のことだった。

初めての海外旅行で不安もあったが、心強い仲間もいた。世界的な冒険家、植村直己さんだ。犬ぞりの練習地に世界最北の村を選んだ植村さんとは、1972年11月から、3カ月ほど一緒に暮らした。

犬ぞりで頻繁に出かけていく植村さんを横目にしながら、興味は村の人々に向いた。痛感したのは、自分の生活技術の足りなさ。自分よりも子どものほうが生活力があることに愕然とした。

「まがりなりにも大学を卒業し、日本では一人前のはずなのに、生きるためにするべきことが何もできない。食料や衣類のことを子どもに教わる始末です。それまで生きてきた自分の25年って何なのだろうと考えこみましたね」

1年の滞在をへて帰国するも、イヌイット(エスキモー)を取材したいというテレビ局の同行依頼もあって、3カ月後に再びシオラパルク村へ。そして、そのままグリーンランドに暮らすことになった。

74年8月、27歳のときに現地の女性と結婚。78年には、日大隊に雇われる格好で北極点遠征に参加し、世界で4番目の北極点到達者となった。もっとも「行った、というだけのこと。経験にはなったけど、あまり感動はなかったね」。興味はやっぱり、冒険よりも暮らしのほうに向く。

移住してからの35年で、村の暮らしはずいぶん変わった。欧米強国の”圧力”で、自給自足に近かったイヌイットの伝統的な慣習や食生活は、便利さと引換に失われつつある。かつては口にできなかった豚肉や米、春巻き、野菜などが買えるようになり、発電所ができ、入浴の習慣がなかった村にシャワー施設が常設されるようになった。暮らしやすくなった半面、金稼ぎに追われるようにも……。

収入源となる猟も、欧米強国の理屈を押し付けられて、自由を奪われている。トラバサミ(仕掛けを踏んだキツネなどの足を挟むワナ)は「かわいそう」という理由で使用禁止。クジラはIWC(国際捕鯨委員会)から捕獲できる頭数を制限されている。

「結局は強い者のエゴがまかり通る。エゴっていうのは、裕福になると生まれるもの。貧しいときは、生きることだけで必死だから。しかも、そういうエゴのしわ寄せは、いちばん弱いところに来る。4年ぶりに日本に帰ってきたら、ニュースでやっているのは社員のクビばかりでしょ。ここも同じだな、と思いましたよ」

猟の規制に対して反対運動を試みたこともあるが、最近は自分のするべきことを淡々とやろうと考え方を変えた。

「世界の端っこから大声あげたって届かないもの。お手上げっていうんで、今はのんびりやることにしています」

◆おおしま・いくお
1947年東久留米市の農家に生まれ、後に清瀬市に転居。72年からグリーンランド移住。著書に『エスキモーになった日本人』(文藝春秋)がある。

(※編集部注 2009年1月7日発行「タウン通信」より)

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