コミュニティラジオ放送局「FMひがしくるめ」(85.4MHz)で、小平市の職員・神山伸一さんと清瀬市の職員・植田貴俊さんがパーソナリティーを務める番組「ほくほくラジオ」が、2月12日(金)、1周年を迎えた(2021年)。
市職員がラジオパーソナリティーを務めるのは全国的にも珍しく、特に2市の職員が一緒に番組を持つのは異例のこと。
「両市の情報を発信することで、多摩地域の連携や人の動きを活性化できれば」と、二人はさらなる情報発信に意欲を燃やしている。
第2金曜・午後8時から1時間の生放送
番組は毎月第2金曜日の午後8時から8時55分までの生放送。二人がメインパーソナリティーを務め、小平市・清瀬市からそれぞれ1人ずつゲストを招いてトークを繰り広げる。
ゲストはこれまでに、
- 小平観光大使でサッカーJ1「清水エスパルス」に所属した吉本一謙さん(現在は引退)
- 清瀬市で育った世界的映画監督の是枝裕和さん
- 清瀬市出身のタレント・村野武範さん
のほか、市民活動を続ける市民や、両市の職員など多彩な面々を招いてきた。その数は1年で、延べ52人に上る。
定期配信の番組のほか、第5金曜日や正月などに特別番組も放送してきており、1年間で放送したのは17回に達した。
その間に、
- 清瀬市の市制施行50周年を記念するスペシャル番組
- 小学生が参加する夏休みスペシャル
- 小平市にある喫茶店「永田珈琲」からのサテライト放送
- 正月の2時間番組
といった取り組みもしてきている。

新成人スペシャル番組を急きょ放送したことも
今年1月には、新型コロナウイルスの影響で成人式が各市で取りやめになったことを受け、急きょ「新成人スペシャル」を放送。わずか3日で企画し、新成人の生の声を地域に届けた。
この放送については、出演した新成人の祖父母が地方でネット回線を通じて聴き、孫の声に涙を流して喜んだというエピソードもあったそうだ。
こうした取り組みについて神山さんは「フットワーク良く、コミュニティラジオらしい放送ができたと思います」と振り返る。
さまざまな縁とタイミングが重なり、番組がスタートした
東久留米のコミュニティラジオで、小平と清瀬の市職員が番組を持つ―—。
少々不思議な取り合わせですが、番組の発足はそれぞれのタイミングが合ったからという。
現在、環境政策課課長の神山さんは、昨年度まで小平市の文化ホール「ルネこだいら」に配属されており、同局に電話で出演し、イベント案内の放送を行うことがあった。
そんな縁から同局の代表・高橋靖さんと交流があり、「番組をやってみない?」と持ちかけられた。
とはいえ、小平市はFMひがしくるめの放送圏外。どうしたものか……と思いを巡らしたときにピンときたのが、清瀬市との連携だった。
「小平市にも清瀬市にもコミュニティFM局はなく、その間の東久留米市にはある。それならば、東久留米を中心に、小平、清瀬を含めた大きな円として捉えれば、エリア内の人の動きを生み出し、地域活性化に役立てるのではないか」
そこで声を掛けたのが、20年ほど前に自治体職員向けの研修で知り合い、交流を持ち続けてきた植田さんだった。
実は植田さんは、現在、秘書広報課の課長。情報もたくさんあるはず―—と連絡を取ったところ、一方の植田さんも、ちょうど新しい情報発信を模索していたところだった。
「FMひがしくるめとの接点は、清瀬市が防災協定を結んだことです。それを機に、もっと深いつながりを持てればと考えていたところでした」
と植田さん。
さらにいえば、FMひがしくるめの側も、今後の聴取エリア拡大を模索していたところだった。もし、小rう平・清瀬の情報を発信できる番組が作れれば、「これから見本になっていく番組」(高橋代表)となる。
このようにそれぞれのタイミングが合致し、番組がスタート。番組内では、行政職員のネットワークを活かして東久留米市の話題も入手し、小平・清瀬・東久留米を中心にした情報発信を行っている。そんな思いから番組名を、「北多摩」と「旬」にちなんだ「ほくほくラジオ」と命名した。
市民として自由に情報発信
ところで、二人はどういう立場で番組にかかわっているのだろうか?
質問したところ、「市職員ではあるけれど、一市民として参加している」との返答だった。
「当然ですが、私たちは無償ボランティアで参加しています。市にはきちんと申請をし、活動を認めてもらっていますが、市を代表して来ているわけではありません。職員のネットワークや情報を生かしながら、自由にやっています。市職員にも多数ゲスト参加してもらっているので、市の職員を身近に感じてもらえる機会になったらいいですね」
と神山さん。
対して植田さんは、
「番組には渋谷金太郎市長にもご登場いただいており、市からは好意的に見てもらっています。広報誌では書ききれないことも多いですし、特定の市民団体などを紹介するのは難しい。その点、この番組があるおかげで情報発信の幅が広がりました」
と話す。
「温度が感じられる放送を続けたい」
1周年を迎えるに当たっては、それぞれこう振り返ってくれた。
「いろいろな人にご登場いただき、バラエティある番組をお届けできたと自負しています。ラジオはリスナーとパーソナリティーの距離感が近いメディアだと思っています。寄せられたメッセージはできる限り番組内で読んでいますし、意外に双方向です。温度が感じられるような番組を続けていきたいですね」(神山さん)
「だいぶ慣れてきて、情報を伝える楽しさを感じているところです。市の公式な活動では伝えきれないような、埋もれていた情報を掘り起こしていけたらと思っています」(植田さん)
こうした二人に対して、同局の高橋代表は「正月特番もお任せしましたし、信頼しています」と話す。
「現在、小平市・清瀬市への聴取エリア拡大に向けて申請の準備をしており、こうした先行例があると進めやすい。この番組があることはウチの局にとってとても大きいです」(高橋代表)
オリジナルマスクを10人にプレゼント
今回、「ほくほくラジオ」では、番組1周年を記念して、オリジナルマスクを10人にプレゼントする。
このマスクは、清瀬市の市民団体「まちづくり清瀬」のメンバーが、番組への応援として提供してくれたもの。グレーのマスクに、オリジナルロゴが配されている。
応募はメール(854@fm-higashikurume.com)またはファックス(050-5241-3861)で。応募締切は2月19日(金)。
番組の感想を添えてご応募を。応募多数時は抽選。当選者の発送は賞品の発送をもって代えます。
(※すでに応募は終了しています)

番組はスマホでも
なお、現在は東久留米市が聴取エリアとなっているFMひがしくるめだが、スマートフォンのアプリ「FM++」を使えば、全国どこででも聴取可能。
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