日本語教師の体験を出版
51歳で日本語教師になり、81歳まで教壇に立った。その間、トルコ、タイ、モンゴルにボランティアで赴任した時期もある。そんな体験をまとめ、先頃、『第二の人生を心豊かに 日本語教師体験記 トルコ・タイ・モンゴル・フィリピン・日本で』を出版した。85歳の現在は自宅で英語教室を開き、充実した第二の人生を過ごしている。
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日本語教師になる決意をしたのは、英語力を買われて化学会社で働いていた40代後半のとき。出張先のバリ島で接待ゴルフをしていた際、男性キャディーたちが日本人の元に集まり、必死に日本語を学ぼうとしている姿に驚いた。日本人に付けば支払いも良く、チップも期待できる――。それから注意して歩くようになると、ホテルでも土産物店でも、片言の日本語で熱心にコミュニケーションを取ろうとする人が目に付いた。
「貧しい彼らが日本に来て学ぶのは到底無理。だったら、いつか私が海外に出て日本語を教えていこう」
帰国後、日本語教師養成講座に通って指導の技術を学び、3年間かけて資格を取った。
海外には、子どもの頃から興味があった。大学では英米文学科を卒業し、中学校教諭を経て、化学会社に転職。もともと旅行が好きなうえに海外出張が多く、これまでに訪問した国は54カ国に及ぶ。
所属したJSV(日本シルバーボランティアズ)を通して最初の赴任先・トルコの話が来たのは、57歳のとき。高校生の子どももおり、悩みに悩んだが、「これまで学んだことを社会に還元しないと」という夫の言葉が背中を押してくれた。
親日国のトルコ、大雑把なタイ、発展途上で当時は危険もあったモンゴル――。指導の一方で、自身もさまざまな文化のもとで「面白い体験」をたくさんした。
何より最大の財産は今も続く教え子たちとの交流だ。トルコ、タイにも出掛けていくし、ネット通話で話すことも多い。
「長寿の現代は第二の人生が長い。多くの方に、何かを始めることをお勧めしたいです。そんな思いで本を書いたので、私の体験が参考になったらうれしいですね」
◇ふじもり・かずえ 1939年、東京都生まれ。国内の日本語学校のほか、トルコ・エルジェス大学、モンゴル文化教育大学、タイ・プリンセスマザースクールで日本語を指導した。現在、西東京市の自宅でFuji英語教室主宰。
※同書は四六判、196ページ、パレードブックス。1320円。ネット書店「アマゾン」で販売中。
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