【シリーズ・防災を本気で考える】第6回 被災者から支援者に

2024年8月7日

備えることで立場が変わる 市民団体「西東京レスキューバード」が提唱

私たちの住む町で地震や火事・水害などの災害が起きたとき、どうすればいいのだろうか――2015年から活動している「西東京レスキューバード」は、防災訓練や防災に関する啓発活動などを行う市民団体だ。市民の立場で防災に取り組む代表の荘(しょう)雄一朗さんに、市民一人ひとりに必要な防災意識について話を聞いた。

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西東京市の災害リスク

「西東京市など多摩北部では、地震はもちろん大規模火災や台風などによる水害のリスクがあります。川の近くでなくても、下水道などの排水能力を超えた雨が降ったときに浸水被害を引き起こす〝内水氾濫〟に注意が必要です」

と話すのは、同会代表の荘さん。

同会は、2014年に開かれた西東京市社会福祉協議会(社協)主催の災害ボランティア養成講座修了者を中心として、設立された市民団体だ。会員は約50人。「平時のつながりが大事」という考えのもと、市内の小学校での講演活動をはじめ、西東京市民まつりなどのイベントに積極的に参加。防災まち歩きのほかにも、非常食の紹介、非常用トイレの使い方をデモンストレーションするなど、さまざまな形で啓発活動を行っている。

講演する代表の荘さん

被災者・支援者の分岐点

「私たちがイベントを主催することもありますが、そこに来てくれるのは防災に関心がある人。そうではない人にアプローチしたい」と荘さん。どうして、市民の一人ひとりに防災意識が必要なのだろうか。

「私たちの会には、被災地のボランティアに参加している者もいます。被災地でよく耳にするのが、『こんなことになるとは思わなかった』という声。備えに完璧はありませんが、食糧・水・停電時の電気・非常用トイレなどは普段から備えておくことが可能で、災害のダメージを減らすことができます。そして、自分と家族が無事なら、地域の支援に回る立場になれる。備えをすることが〝被災者〟と〝支援者〟の分かれ道です」

災害時にボランティアセンターを設置するのは社協などだが、職員らは市内の福祉を支える本業を持つ。そこで力になるのが、地域と地域外から訪れた災害ボランティアをつなぐことができる地元の人間だ。

あなたも支援者に

いざという時の災害ボランティアセンター支援に備えて、平時のうちにできるだけ多くの方と繋がっておきたいと荘さんは話す。

「人と人とがつながって情報をシェアし合い、互いの得意分野を知っておくことで被災時の助け合いの輪につなげたい。もちろん私たちのメンバーとなって学んでいくことで災害時のイメージを膨らませられるし、地域活動へのデビューの場としていただくこともお勧めです」

入会希望者は、同会の公式サイト(http://nishitokyoresquebird.cocolog-nifty.com/)などから問い合わせを。毎月第2土曜日に定例会を開いている。

7月14日に西東京市柳沢小学校で開催された防災教室の様子

西東京レスキューバード

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