障害者の多くが、住む場所がなくて困っている――。そんな状況に対し、西東京市で珍しい協働が続いている。NPO法人と不動産会社が連携してグループホームを増やすというもので、地域密着が求められるコロナ禍のなか、活動を促進させている。現場を取材した。

「見守り」システムにより、アパート1棟を精神障害者の住まいに
訪ねたのは、ひばりヶ丘駅まで徒歩5分ほどの住宅街にあるアパート。12室あるうち、7室がグループホーム(共同生活援助)として精神障害者らに利用されている。部屋はロフト付きのワンルーム。精神障害者らは、ここで一人暮らしをする。トラブルなどはないのだろうか……。
「ないと言えばウソになりますが、住民間のトラブルは、一般の方の間でもあります。貸す側としては、きちんと見守られている彼ら(精神障害のある入居者)のほうが安心なくらいです」
そう話すのは、ひばりヶ丘駅近くにあるERA LIXIL不動産ショップ・三成産業の清水二郎さん。
「見守られている」というのにはワケがある。
部屋を借り、グループホーム「もやい」として運営するのはNPO法人「友訪」。NPOスタッフは毎日、朝晩に入居者を訪問し、▼本人の状態、▼服薬の有無、▼部屋の清掃状況、などを確認している。そして、異変を察知すれば、即座に踏み込んだサポートに移る。
もっとも、「深刻な状況になることはほとんどない」と同NPO理事長の星登志雄さんは話す。
「グループホームに入るのは医師の診断書が出ている人に限られます。原則として『自立』を目指す人たちが入居しており、服薬や作業所勤務もしているので、そう心配することはないのです」

障害者の住宅難
この連携の有意義な点は、不動産会社が直接、障害者支援にかかわっているところにある。
同社の清水さんは弊社としても業務の一つとして行っていることと煙に巻くが、これまでに同NPOの意見を聞きながら、2つの滞在型グループホームを一から立ち上げている。それに対し同NPOの星理事長は「ここまでしてくれる不動産会社は珍しい。私たちにとって本当にありがたい存在」と称賛する。
背景にあるのは、精神障害者への偏見による住居探しの困難さだ。
「精神障害者の住居探しでは、不動産業者・大家・保険会社の3つの壁がある。たいていは『精神障害者』と口にした瞬間に門前払い。一方で、障害の原因が家族関係にあったり、親の高齢化などから、一人暮らしを求める精神障害者たちは多い実情があります」
と星理事長は指摘する。だからこそ地元を知る不動産会社が直接その住居確保にかかわる意義は大変大きい。

「地域を良く知る不動産会社こその貢献」
ERA LIXIL不動産ショップ・三成産業では、来月にも新しいグループホームを完工予定でいるなど、ここに来て活動を促進させている。
「コロナ禍でより地域に目が向いています。地元をよく知る不動産会社だからこそできる社会貢献がある思っています」
そうしたことから同社では、土地や物件の扱いに困っている人に、「気軽に相談して」と呼びかけている。
「資産を有効活用して社会に役立ちたくても、どうすればいいか分からない方は多いです。ぜひご相談ください」と清水さん。お気軽にお電話を。詳しくは同社(TEL:0120・306・997)へ。
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