花粉の飛散が気になる季節がやってきました。かゆみや涙などの目の症状が出る人は、眼科での早めの受診がお勧めです。
花粉症から目を守るための適切な対処について、「ひばり中村眼科」の中村真太郎院長に聞きました。
「早めの点眼で症状を軽く」
――眼科で行う花粉症への治療は?
「症状を確認してから顕微鏡で結膜と角膜の状態を確認し、アレルギー性結膜炎かどうか診断します。その方の症状の程度に応じて点眼薬を処方します。
一般的には、かゆみや涙、目やにに対して効果のある『抗アレルギー剤』の目薬を出しますが、炎症が強い場合はステロイドの点眼薬や、最近出てきた『免疫抑制剤』という特殊な薬を使います。抗アレルギー点眼薬のみならあまり心配はいりませんが、ステロイドや免疫抑制剤の点眼薬は副作用に注意して使っていく必要があります」
――市販の目薬と、処方との違いは?
「症状が軽い方なら市販のアレルギー用点眼薬でも問題ありませんが、万人向けなので、すべての方に効果が出るわけではありません。
特に症状の強い方は、診察を受けて処方薬を点眼するほうがよいと思います」
――なぜですか?
「アレルギー性結膜炎であっても、炎症の程度によって薬の使い方が違ってくるからです。
また、結膜炎はアレルギーによるもの以外に、細菌やウイルスの感染によるものもあります。この二つは治療方法が異なり、区別する必要があります。
かゆみがあるかどうかで判断できることが多いのですが、特にお子さんの場合はなかなか症状をうまく伝えられないこともあり、やはり診察してみないとわからないことも多いです」
点眼薬を始めるタイミングは
――目薬ではなく、目を洗う人もいますが。
「洗眼は、アレルギーのもとになる花粉などを除去するという面では効果があります。
しかし水道水に含まれる塩素、市販の洗眼剤に含まれる成分には、目の表面に対してあまり良くない面もあります。
また、目の表面にとって大事な成分を含む涙を洗い流してしまうデメリットもありますので、あまり頻繁に行うべきではないと思います。特にもともとドライアイのある方は要注意です」
――治療の時期は?
「抗アレルギー剤点眼薬は、症状が出るより少し前から点眼を始めたほうがより効果が出ます。アレルギーが発症する時期がだいたいわかっているなら、その2週間くらい前には点眼薬を始めたほうがよいでしょう。
また、眼鏡をかけていると飛散している花粉が結膜に付着するのをある程度防いでくれます。できるだけコンタクトレンズ使用はひかえて眼鏡にしておいたほうが症状が軽くすみます」