「終活」ブームに一石 専門家が特集本出版

西東京市在住の社会保障学者・川村匡由さん『老活・終括のウソ、ホント70』

〝人生100年〟といわれるなかで、明るい老後を送るための「老活」や、「終活」の必要性が唱えられています。しかし、「そこにはだまされてはいけないウソが隠されている」と武蔵野大学名誉教授の川村匡由さんは訴えます。先頃、啓発する本も出版しました。川村さんにお話をお聞きしました。

多数の著書がある川村匡由教授

社会保障学者で、行政書士の資格も持つ川村さんが出版したのは、『老活・終活のウソ、ホント70―データや研究実践、経験からみた実像』です。学者の知見と自身の体験をベースにした一冊で、喧伝(けんでん)されている「終活」の心配事を「ウソ」と一蹴します。

「『老活』『終活』がこれだけ話題になるのは、単純に、寿命が延びたから。もちろん、長生きの分、病院や介護などでもお金がかかるようになり、不安感があるのも確かでしょう」

と川村さんは説明します。

刊行された『老活・終活のウソ、ホント70』

しかし、テレビや新聞、雑誌などに出てくる情報には「要注意」とも指摘します。

「あくまで業者サイドのPRですからね。今は多死社会であり、シルバー産業に、さまざまな業者が押し寄せています。  

残念なことに、日本人は消費者教育がきちんとされていない。右に倣えの傾向があり、宣伝に踊らされてしまいがちです。

そういうなかで消費者保護の立場から、情報を見定め、共有していこうというのがこの本の役割なのです」

と川村さん。  

たとえば、一般的な葬式の費用は全国平均がおよそ200万円ですが、公的なところが行う市民葬なら、ぐっと費用を落とせます。

また、死後、お寺に付けてもらう戒名は、ランクによって値段が違うのはご存じの通りですが、「これはお釈迦様の弟子にしてもらうために付ける名前なので、あえて付ける必要はない」といいます。  

「私のモットーは〝先憂後楽〟。早い時期から行く末のことを案じて、いろいろ手を尽くしておけば、後が楽です。老いや死は必ず訪れるのですから、先送りせず、きちんと危機管理をしておくことが肝心。

早い時期にどういう老後を送るか、どういう葬儀を行うかなどの遺言書を書き、配偶者や家族と話し合っておくことが大切です」

と川村さんは話しています。  

同書は四六判、212ページ、大学教育出版。1944円。全国書店、ネット書店で販売中。  

なお、西東京市に暮らす川村さんは、向台町や武蔵野市境のエリアをモデル地区として、安心して終末を迎えられる社会システム作りに取り組んでいます。

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