学びや仕事に年齢は関係ない! 9月15日~21日の「老人週間」に合わせて、本紙配布エリアの輝くシニアお二人に迫ってみました!
「興味のまま学べるのは高齢者の特権」
この春、71歳にして放送大学大学院修士課程を修了したのは、元学校教諭の滑川邦夫さんです。
もともと理科系という滑川さんは、退職後に「空いた時間をどう過ごそうか」とさまざまな講座などに参加。その一つで西東京市図書館主催の「古文書入門講座」に出会い、のめり込んだそうです。
「自分がここまで古文書にのめり込むとは!」
最初は、クイズに答える気分で文字に向き合っているうちに、古文書の中身が面白くなったという滑川さん。
課題で選んだのは、地元の史料。
名主・下田家の文書には、「もう一度息子に会いたい」という犯罪人の家族の訴えなどがあり、「当時の人も、私たちと変わらない」と興味が広がりました。
それらの記録は、得意のパソコンで冊子にし、図書館に寄贈。「いつか誰かの参考になるかもしれない」と、現在、約20冊ほどを納めています。
放送大学大学院に通ったのは、当時の土地証文(質地証文等)について、どうしても分からないことがあったから。その答えは、在学中に自分なりの仮説を立て、修士論文にまとめました。半ば暇つぶしから始まった学びは、専門性を持つまでになりました。
「目的のためではなく、知りたいという興味のままに学べるのは高齢者の特権かもしれません」
と滑川さん。
「私自身、古文書にここまで興味を持つとは想像もしなかった。いろいろなものに触れてみると何かに出会えるはずです」
と生涯学習のヒントを語ります。
滑川さんは今また、田無の郷土史料に向き合っています。
「犬への恩返し」を一生貫く
80歳の今も、月曜日以外毎日診察をしているのは、東久留米市の「いそべ動物病院」の磯部芳郎院長です。
磯部さんは、寄生虫・フィラリアの駆除手術法で「学会賞」を受賞するなど獣医学の分野で実績があり、『動物病院を訪れた小さな命が教えてくれたこと』(現代書林)など多数の著書もあります。
「無理せず、来る患者にだけ対応」
治療法の進歩は目覚ましく、現役医師で居続けるのは容易ではありませんが、磯部さんは「自宅開業なのでいつでも対応できるし、無理して稼ぐ必要もない。助けを求めてくる患者さんがいるので続けているだけ」と自然体です。
そんな磯部さんが臨床医として開業したのは1966年のことです。その根底には、「動物を助けたい」という熱い思いがあります。
磯部さんが獣医を目指したのは、子どもの頃に飼っていた愛犬・ムクちゃんがきっかけ。複雑な家庭環境のなか、ムクちゃんが心の支えでした。
「ぼくは、犬に育ててもらったんです」
と磯部さん。
その思いが「犬に恩返ししたい」「愛犬家の力になりたい」という現役続行につながっています。
「医療行為は見えにくいからこそ、医師には倫理観が必要」と説く磯部さん。そんな獣医師は、えん罪救済に取り組む団体「日本国民救援会」の東久留米支部で支部長を務めてもいます。同院は042・471・0031。