街かど診療室
保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム
11月を迎えると、途端に冷気が強くなり空気は乾燥してきます。眼科外来にはドライアイの症状を訴えて受診する人が増えてきます。
しかし、ドライアイの症状は人によって千差万別、患者さんの訴えは多岐にわたります。
涙の量が少なく目が乾燥して痛いという、世間一般で考えられるドライアイの症状を呈する人は、実は2割にも満たないのです。
これ以外のドライアイの症状で典型的な訴えは、外に出て風にあたると涙が出る、ここ数週間前から(10月後半頃から)視力低下に気づいた、目のかゆみがひどくなってきた等です。
これらを解説してみます。
冷気で涙が出る
これは目の表面を守る涙の層が崩れやすいために起こることを意味しています。
涙液層の質の低下、これもドライアイで、実はこのタイプが一番多いのです。
涙は涙腺から出ますが、目を潤す涙は副涙腺から、刺激などで一時的に目を洗い流す涙は主涙腺から出てきます。
通常、目を潤す涙は目の表面に5~10秒ほど留まりますが、これが2~3秒であれば、瞬きに間に合わず、目が乾くため反応性に主涙腺からジャバジャバ涙が出てきます。
視力低下
涙は目の表面を綺麗に覆うと綺麗なレンズ表面を形成しますが、目の表面に涙が留まることができなければ、まるで傷ついたレンズで物を見ることになります。
目の痒みがひどい
アレルギー性結膜炎を憎悪させる因子にドライアイがあります。
また、ドライアイはアレルギー性結膜炎で憎悪します。
アレルギー性結膜炎は、赤目(まぶたの内側:瞼結膜)にブツブツができて、瞬きするたびに涙の層を削りますが、そのためにドライアイ素地を持っている目は、乾いた季節はつらくなります。
いろいろな症状を呈しますが、それに応じて処方、生活アドバイスを眼科医は提案します。
プロフィール
伊藤 勇