百二、 扁鵲伝説

医針伝心

土居治療院 土居望院長コラム

 

伝説の名医、扁鵲の名は東洋医学を生かじりした人でも知らない人はいないだろう。

活動した時代は戦国時代末とされるが、文献によりさまざまである。

東洋医学に解剖学がないのも扁鵲の流れで、扁鵲はツボから人体を透視したのだという。

だから、解剖学など必要なかったわけだ。

 

三兄弟の説から見えること

この扁鵲伝説は諸説あり、本当は実在しなかった? 特定の学派ではなかったか? 面白い説に三兄弟であったという話もある。

長男は天才的医術の持ち主、次男は村の良医として知られ、三男は遊んでばかりで医術の勉強すらしない。

ところが〈名医扁鵲その名天下に轟く〉と言われた扁鵲は三男であったのだという話。

長男は患者が病気になる前に病の元を治してしまうから、その医術は誰からも知られなかった。

次男は病を早期に見つけ治してしまうので村の人たちから良医と慕われていた。

三男は散々こじらせた病を派手なパフォーマンスで治療するのでその名は天下に轟いたのだという。

 

有名イコール腕利き、ではない

私が学生時代に聞いたこの話、治療家の生き方について問いかけていることのように思えるのです。

カリスマ性があって自信満々治療している人に、技術が優れた人はとても少ない。たとえ、その人がどれだけ有名であってもです。

ところが、患者さんが少なく、治療に自信がなさそうにみえる治療家でも実はよく勉強していて結構上手な人もいる。

つまり、生き方の問題なんです。

三人のどの生き方を選ぶか、私も多少年を取ったものの、これから修行を積んで扁鵲長男を目指していきたいと思う。

プロフィール

土居 望

「土居治療院」院長。開業37年で、治療した患者はのべ20万人以上。鍼灸師卒後臨床研修指導員。ツボや鍼灸への研究を続けており、独自の治療観を持つ。著書に『鍼灸の奥義、あなたもツボ治療の達人になれる』(青萌堂)、『東洋医学ノート』(法研)がある。TEL042-475-9375。東久留米市東本町13-2。

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