在宅診療NOW
まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム
認知症学会で、認知症のご本人とご家族の声を聞く機会がありました。
登壇された方々は、お一人は、8年ほど透析クリニックで働かれていた看護師さんでした。以前はできていた仕事ができなくなり、その後職を転々とするも長続きしません。今年になって、文章も読めなくなってしまったといいます。
もう一人は、職場で管理職をしていた男性です。あるときから部下の発表が理解できなくなり、退職。今は簡単な掃除などの仕事をされています。その職場では気分屋の上司に振り回され、愚痴もたまに言われているようですが、それでも「認知症でも仕事はできる」と話されていました。
家族の負担感
一方のご家族ですが、自分の親御さんが認知症で現在介護中という方は、「以前できていたことができなくなり、出口が見えず、泥沼にはまったようだ」とお話をされていました。ただ、家族会で気持ちを共有するようになったら、気持ちが楽になったとのことでした。
地域にある認知症サポート
さて、高齢社会になれば、認知症の方は間違いなく増えます。街づくりにおいては、認知症の方もご家族の方も、社会の中で孤立しない優しい街を目指すべきだと思います。その活動の一環として全国には認知症オレンジカフェがあります。西東京市にも数カ所あるので、気軽にご利用されることをお勧めします。
私は、以前から認知症は大きな社会問題になると思っていたため、認知症の研鑽に努め、このたび日本認知症学会認知症専門医の認定を受けました。現在、月に1回在宅医療カンファレンスを行っていますが、そこで認知症専門医の「辻内科循環器科歯科クリニック」の辻正純先生、「山川クリニック」の山川健太先生から多大なるご指導ご鞭撻、並びに認知症専門医の受験に当たってご推薦をいただきましたこと、深く感謝申し上げます。
プロフィール
松原 清二