在宅診療NOW
まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
昨年は平成から令和へと元号が変わり、皇位継承、また大嘗祭で天皇陛下が国民のために安寧と五穀豊穣などをご祈念なさっている様子をテレビ中継で見ていて、大変厳かな気持ちになりました。そこで荘厳な場所や雰囲気を自分の肌で感じたく、先日皇居に行ってきました。参拝終了時刻間際の夕方で、滑り込みセーフでしたが、多数の人が来ていました。
実際の大嘗宮は木造の宮殿でしたが、頭の中でテレビの画像と重ねてみると、平安時代からの日本が脈々と今も流れていると思われ、感慨深いものでした。
昔からあった在宅医療
実は在宅医療も、往診という形で昔からありました。患者さんが通院できなくなったら、医師が診察に行く。行くことで患者さん家族が安心していました。
有名な、三船敏郎が演じた赤ひげ先生は、患者さんの病気を診るだけではなく、その家族の生活の在り方まで面倒をみて、大変慕われた医師でした。
介護者への対応も大事
時代は違いますが、実際の私の往診でも、認知症の方で「シロアリが見える」などと訴えるためご家族が気になって眠れないケースや、患者さんが治りづらい頭痛を持っているためご家族が数時間おきに呼ばれてしまい休めない場合など、患者さん、ご家族が病気と共存せざるを得ない例がよくあります。
こういった場合、疾患や今後の見通しの説明、実際の検査、治療などという医療面での対応だけでなく、介護者の様子に合わせた対応も必要です。例えば、連携先の病院に患者さんの入院を手配してもらい、その間、介護者の休息を図ることや、解決はしない問題だけど、家族と共に悩み、気持ちを共有することもあります。認知症やがん、心不全などの慢性疾患があったとしても、可能な限り自宅で過ごし、ご家族の負担も軽減し、ときに悩みながらやっていく。そのような、患者さん、ご家族がうまく病気と共存できる在宅医療を提供していける1年にしたいと思います。
プロフィール
松原 清二