新型コロナ影響・休校中に「社会を考える」
新型コロナウイルスの影響で多くの学校が臨時休校しているなか、東久留米市にある自由学園の高校生3人が、有識者6人にインタビューをし、その動画を特設サイトで公開しています。
出演しているのは、以下の6人です。
◎日本基督教団牧師で立教大学非常勤講師などを務める平良愛香さん
◎政治学者で上智大学国際教養学部教授の中野晃一さん
◎日本同盟基督教団牧師で東京キリスト教学園理事長の廣瀬薫さん
◎社会学者で東京大学大学院教育学研究科教授の本田由紀さん
◎大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)などの受賞歴があるジャーナリストの安田浩一さん
◎日本エシカル推進協議会名誉会長で東京大学名誉教授の山本良一さん
それぞれ約15分で、「これからをどう生きるか」という視点から生徒たちに見解を語りかけています。
わずか3日で撮影、5日でサイト公開
取材したのは、高等科3年生の小林多治生さんと2年生の川嶋一さんの2人です。
同校の更科幸一副学園長から声をかけられ、わずか3日で6人をインタビューしたそうです。
2人に声がかかったのは、同校が2016年から実施している「平和週間」の係だったためです。国際連合が定める9月21日の「国際平和デー」にちなみ、同校ではその1週間を「平和週間」と定めて平和を考える講演会などを多彩に開いてきています。
これまでに、詩人の谷川俊太郎さんと作曲家の谷川賢作さんの親子、拉致被害者で現在は翻訳家として活動する蓮池薫さん、社会学者で首都大学東京教授の宮台真司さんなどが登壇しています。今回の動画に出演している中野さん、安田さんも2017年に講演をしています。
今回、テーマ設定を「平和で持続可能な社会づくり」と定めたこともあり、「平和週間」の係だった小林さん、川嶋さんに声がかかりました。
彼らが撮影した動画を編集したのは、2年生の幸田良佑さんです。
幸田さんは休校と同時に愛知県の実家に帰省していましたが、ネット通話などで更科副学園長と連絡を取り、特設サイトの制作も担当しました。
この動画は、自由学園在校生の休校中の課題に用いるため、公開を急ぐ必要があったのですが、それにしても、3月5日に撮影スタート、10日に特設サイトを公開——という早業でした。動画PRの動きも素早く、取材したのは10日の公開後から3日後の13日でしたが、すでに1万回以上見られている、とのことでした。
取材を通して高校生たちが感じたこととは
取材にも立ち会った更科副学園長は「動画なら生徒たちが自宅でも見られます。臨時の長期休校というこういう機会にこそ、今の社会を考えてみてほしいと思いました」と企画の意図を話します。
前述の6人の識者は、そうした狙いから選んだといいます。本田さん、山本さんについては、「平和週間」でのつながりではなく、「若者の今置かれている状況を話してほしい」「世界の異常気象を語ってほしい」という考えから、個別に依頼をしたそうです。
この取材を通して、高校生たちは何を感じたのでしょうか。小林さん、川嶋さん、幸田さんの3人にお話をお聞きしました。更科副学園長も同席してのインタビューを約7分の動画にまとめています。高校生たちのコメントに、ぜひ耳を傾けてみてください。
動画(7分6秒)
「全国の人に見てほしい」
なお、このサイトは自由学園の生徒たちの課題として用いられますが(生徒たちはレポートを提出する予定)、同学園では、「全国の人たちに見てほしい」と呼びかけています。
特設サイト:https://lcpss.ourjiyu.com/
学校法人「自由学園」
幼児生活団幼稚園から最高学部(大学部)まである私立校。日本最初の女性新聞記者・羽仁もと子とその夫でジャーナリストの羽仁吉一によって創立され、「生活即教育」をモットーにした独自の教育を行っています。男子部(中等科・高等科)は入学した1年間は全員が寮生活を行います。全国から生徒が集まる学校です。