緑内障治療の動きについて

街かど診療室

保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム

 

緑内障で眼科に通院している方で、点眼増加や手術に踏み切るなど、治療強化となる場合があります。

今回は、その治療強化の判断基準をまとめてみます。

 

緑内障の段階を整理すると

目標眼圧に到達していない場合

緑内障と診断されるにはいろいろな検査が行われますが、未治療の際の眼圧を基準として、そこから20%程度下がるように点眼などで眼圧を下げます。この目標眼圧に到達できない場合、点眼追加などとなります。

視野に悪化傾向が認められた場合

目標眼圧に到達していても、視野の悪化が年単位である程度以上の速度を認めた場合、さらに眼圧を下げる必要があります。

画像計測に悪化傾向を認めた場合  

現在は、画像診断にて緑内障の際に減少する網膜神経節細胞層(RNFL)の厚さ、分布を可視化したり、視神経周囲の篩状板血管の形態を観察できます。これらが経年変化で減少傾向を示した際も、眼圧下降を考えます。

視神経乳頭に出血を認める場合

視神経乳頭に出血を認めた際は、視神経構造の破綻を意味しており、やはり食い止めるために眼圧下降を目指します。

 

診断と治療には、経過観察と検査が必要になる

他にも総合的に診断しますが、上記を見ても分かる通り、緑内障の診断と治療には時間をかけた経過観察と検査が必要となります。

眼圧を下げることのみが治療である慢性疾患なので、主治医と会話しながらじっくりと腰を据えて治療しましょう。

 

プロフィール

伊藤 勇

「保谷伊藤眼科」院長。大学病院で最先端の眼科医療に携わった後、同院を開業。白内障等の日帰り手術のほか、網膜硝子体疾患手術、緑内障手術、眼科一般診療などを幅広く行っている。公式ホームページ:http://www.itoganka.com/

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