日本に住む外国人が年々増加しており、住居の契約や医療の支援など、地域で支障なく暮らせるための支援体制が各自治体に求められています。
来月からの「入管法」施行でさらに体制強化が必要となるなか、外国人支援のボランティア拠点として相談窓口の役目を担う「西東京市多文化共生センター」のスタッフに、今後の地域がどうあるべきかを聞きました。
多様な文化 受け入れることが第一歩
西東京市の場合、在留する外国人の数は市民の約2%に当たる4745人(3月1日現在)。ちなみに、日本全体の在留外国人も総人口の約2%に当たる約263万7000人になります(2018年9月法務省公表)。
西東京市多文化共生センターを訪れる外国人の国籍は中国・韓国・ベトナム・エジプト・シエラレオネ共和国などさまざま。約70カ国から外国人が訪れて暮らしています。
「留学生や技能実習生、仕事や結婚での移住など、理由はさまざまです」
そう話すのは同センターを運営する同名NPOの代表・山辺真理子さんです。
「いずれの方も、日々の営みのなかで、少なからず困りごとに直面しています。
旅券やビザの問題、結婚・離婚、就職・解雇、保険や年金、住居の契約、等々。
当センターでは、ボランティア通訳の力を借りながら、相談内容に応じて弁護士や行政書士などのいる専門機関につないでいます」
言語の悩みが多い
相談でひときわ多いのが、子どもの言語習得です。
現在、同センターで韓国語通訳ボランティアスタッフとして働くシム・ソヨンさんが、自身の体験を振り返ります。
「息子は幼稚園まで韓国で育っていたこともあり、日本語は全くできない状態での来日でした。
このセンターで日本語教室を紹介してもらい、徐々に言葉を覚えて自分らしさを取り戻していく息子の姿に、とてもホッとしたのを覚えています」
「交流」が重要
山辺さんは、言語の重要性を前提とした上で、異文化で育った人々が共に暮らすためには「交流」が重要だと強調します。
「違うことを『恐ろしい』と拒否せずに、『おもしろい』と受け入れることができれば、コミュニケーションは生まれるものだと思います」
こうした考えから同センターでは、外国人による各国の民族衣装を着る会や日本語スピーチコンテストなど、さまざまな交流イベントを開催しています。
「このセンターでも、もっと日常的に外国の方も日本人も集まって交流ができれば理想的です」
と山辺さん。
今後、在留外国人数はますます増えていく見込みで、自治体によるシステム面の整備はもちろん、地域住民一人ひとりの意識のあり方が重要になりそうです。
国際交流に関心のある会員を募集
なお、同センターを運営するNPO法人「西東京市多文化共生センター」では、多文化共生や国際交流に関心のある会員を募集している。詳しくは同センター(042・461・0381 info@nimic.jp)へ。