「まず人格を育てたい」
「子どもに平等な学びの機会を」との趣旨で設立されたNPO法人「稲門寺子屋西東京」(寺子屋)が、無料の学習指導を続けて今年で10年。3月に始まる、年に一度の生徒・指導者募集を前に、寺子屋の講師による座談会を実施した。意外にも、学習支援といいつつ、実は人間教育をしていることが見える座談会となった。(以下、敬称略)
――無償ボランティアで講師を続ける理由は?
竹森「私は設立間もない頃から関わっています。寺子屋は、公共施設を利用し、経済的な理由などで塾に通えない小学5・6年生と中学生を対象に学習指導をしています。活動を通して、親の想像以上に子どもたちが成長したがっていることを感じますね」
関口「私はもともと塾の講師です。6年前にタウン通信で寺子屋を知り、参加しました」
片山「私も塾の講師でした。寺子屋を知ったときには、『自分を本当に必要としている子どもは、ここにいるのかも』と感じましたね」
――寺子屋と塾の違いはどのような点ですか?
竹森「『成績向上』を掲げてはいますが、寺子屋の本質は『目の前の壁をどう乗り越えるか』という指導だと思います。
その手段がたまたま勉強なだけで、大事なことは、自分で困難を乗り越えられる大人に育てることなのです」
片山「寺子屋の三本柱は『あいさつをする、時間を守る、宿題をする』『家庭学習の癖をつける』『成績を上げる』。まず人として大事なことを教え、努力の習慣化を身につけてもらい、結果として成績が上がる。そこが塾の考え方と違うところだと思います」
関口「人間にとって大切なのは知識だけではなく、態度や人格だという考えですよね。印象深いのは、中学1年生のときに通い始めた母子家庭の男の子。母親の手に負えないほどの反抗期でしたが、志望校を決めるとき、『高校を出たら早く働いて、お母さんに楽をさせてあげたい』と言うんです。現在は工業高校に通っています」
片山「その子、英検3級を取っていましたよね。寺子屋の講師をしているとうれしいことがたくさんあります」
――子育ての相談を受けることもあるとか。
竹森「地域のつながりが希薄になっている今、我々のような世代に相談できる場が少ないからかもしれません。保護者の方から『私自身も成長できました』という声を掛けていただくこともあり、恐縮します」
関口「塾とは、また違った魅力がありますね。少人数制で生徒一人ひとりに目をかけやすい利点もあると思っています」
説明会を開催
保護者と生徒への説明会・面談が3月9日(月)と10日(火)に、西東京市障害者総合支援センター「フレンドリー」で開かれる。午前9時30分と10時50分から。なお、各公民館に募集チラシが設置されている。詳しくは理事長・金子さん(080・4125・1038)へ。
※2019年記事です
寄付の呼びかけも
同会では、寄付を募っている。ボランティア活動ではあるが、教材費・講師の交通費・授業を行う公共施設の利用など運営負担は大きい。
「無料指導を続けるには寄付に頼るしかありません。『地域の子どもたちをみんなで育てよう』というお気持ちでご賛同いただけると幸いです」と事務局長の高木さん。
銀行振込の場合は左記(三井住友銀行/田無支店/普通/4114594/特定非営利活動法人「稲門寺子屋西東京」)へ。
寄付の詳細は同会ホームページにも記載。