街かど診療室
保谷伊藤眼科・伊藤勇院長のコラム
今回は、もし見えなくなったら、というところに焦点をあてます。
眼科では、日々患者さんの視機能の向上もしくは温存に焦点をあてて治療計画を立てます。
しかしながら、すでに視機能が回復困難な状況に陥っていたり、治療の甲斐なく視力が低下してしまう患者さんもいます。
私のような手術に活路を見出す医師は、助けられない状況に何か手はないかと足掻きますが、すでに神経が変性してしまった等どうしても助けられないと判断した際に、その患者さんの人生の続きを考え、ロービション外来の受診をお勧めします。
見えづらくなった人のQOL
見えづらくなった人が、日常生活にどのように向き合えるか、どのようなツールを使用して豊かな生活を送れるかなど総合的に判断し、 教育・指導してくれるのかロービション外来になります。
現在のロービションリハビリテーションは、デジタルの恩恵を受け、使いやすく運びやすく、 将来の人生を頑張りたい多くの視覚障害者が行動範囲を拡げやすくなりました。
全盲の人が、タブレット一つで世界一周した話を学会で聞いた時は、とても感動し、同時に私自身が救われる気持ちになったのを覚えています。
ロービション外来で世の中が広がる可能性
恥ずかしながら、私は治療学を盲信してこのような学問に一切関わることなく、20年近くの月日が経過した2年前にこの分野の講演を聞きました。
治療の甲斐なく、または不慮の事故などで視覚障害を患ってしまった方が身内にいたり知り合いにいたりで困ってしまう状況がないともいえません。
ロービション外来で世の中が広がっていく可能性もあるのです。
プロフィール
伊藤 勇