いま、市民にできることとは
――その市民についてお聞きします。
地球永住計画もそうですが、関野さんは『人類滅亡を避ける道』といった対論集まで出されています。
それらを通して、大量生産、大量消費の文明社会に警笛を鳴らしているわけですが、一方で先ほどは、グローカルというお話もありました。いま、市民にできること、あるいはすべきこととは何なのでしょうか。
「悲惨な歴史を持つアメリカ・インディアンに『何か手伝えることがありますか?』と聞くと、『いや、別にわざわざ来てやることはない。あなたたちの大地をいつくしんで、正しく生きてください。
それが私たちを救うことです』と言うんですね。
それは、ダライ・ラマ14世もそう言うんですよ。
ぼくは、人にとって何が大切かというと、『当たり前のこと』だと思います。
それは、家族と一緒に住める、好きなところに住める、好きなことが仕事にできる、好きなことが言える、といったことだと思います。
病気になって初めて健康の大切さに気づくように、私たちは、その当たり前のことを大切だと気づいていません。
しかし、そういうものをむしばんでくる人がいます。経済の力で。経済のために仕方がないじゃないか、と。
それを守るのは自分たちしかいない、ということを知ることが大事です。
いま、ちょっとまずい状況だと思います。3.11のときに変わるかと思いましたが、すぐに、経済、経済となってしまいました。
それは自分のことなんだよ、自分で守るしかないんだよ、ということは強調しておきたいです」
メッセージは……、「ほどほどに」
――最後に、いま考えていることを教えていただけますか?
「ぼくは書店などで『何か一言書いてくれ』と言われたら、『ほどほどに』と書くようにしています。
これまでの文明を築いてきたのは、『もっともっと』という欲望です。それに対して、これからの社会を守っていくのは『ほどほど』の精神だと思うのです。
実は『ほどほどに』というのは、自分への戒めでもあるんですけどね。すぐ、いろいろやりたくなってしまいまう性格なので(笑)」
※編集部注 |
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