大人と子どもがつながる場 27日には報告会&講演会
カルピスや麦茶を手に、地域の大人と中学生がゆるやかにつながろう――西東京市の公立中学校で、放課後の時間帯に市民が手づくりで「カフェ」を開く動きが広まっています。その意義をもっと知ってほしいと、27日(土)には、事例報告と講演会が予定されています。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)
「カフェ」は、教室や図書室を利用して、放課後に時間限定で開かれています。
地域の大人たちや社会福祉協議会職員、民政委員らが“店員”となり、カルピスや麦茶、コーヒーなどを振る舞います。もちろん、無料です。中学生たちは紙コップを手に列を作り、それぞれ希望の飲み物を伝えて、注いでもらいます。そのときに、さりげなく一言二言を交わせるのが、この活動の大きな狙いです。
「何を飲む?」「カルピスを下さい」
最初はそんなやり取りが、回を重ねるごとに「この間、テストで……」「部活が大変で……」といった個人的な話に発展していくのだそうです。
また、飲み物だけではなく、トランプなどのゲームも用意して、大人と中学生が一緒に楽しめる場もつくっています。過去には、スタッフが赤ちゃんを連れてきて、教職員らも交えて場が盛り上がったこともあったといいます。
9校中6校で実施
こうした「カフェ」は、現在、同市の9校のうち、田無第一、青嵐、ひばりが丘、保谷、柳沢、田無第三の6校で実施されています。
学校主催ではなく、地域の人たちの有志の活動のため、集まるメンバーや状況などにより規模や頻度、やり方に個性が出ています。最も頻繁な柳沢中では、1学期だけで11回とほぼ毎週開かれていますが、多くの学校では学期に1、2回というペース。1回に集まる人数は、多いところで200人を超えているそうです。
広まる背景に「まちづくり」の会議
「カフェ」が同市内で始まったのは、2015年のことです。田無第一中学校が最初で、地域の育成会が中心になって学校に掛け合い実施しました。
これをきっかけに同市で「カフェ」が浸透していきますが、広まった要因の一つに、同市市民協働推進センター「ゆめこらぼ」が主催した「まちづくり円卓会議」の存在があります。
円卓会議は、課題解決を目指してさまざまな立場の人たちが自由に語り合う場です。当時の「円卓会議」は「子どもの居場所」をテーマにしており、「家〜学校〜塾の往復で疲れている中学生たちに息抜きの場を」と実施された「カフェ」が共感を呼ぶこととなりました。
学校が地域のカギになる
「円卓会議」が「カフェ」に注目したのには、会場が学校だったという点も大きいといいます。
この円卓会議では、「困っている子」をどう救うか、という観点で議論が盛んに交わされ、「結局、子どものことがいちばん見える場は学校だ」という結論に行き着きました。と同時に、例えば非行など地域の中で異変に気づいてもなかなか容易には声をかけられない。普段から関係づくりをしておくことが大切だ――という意見にまとまりました。
そうしたことから、学校を舞台にしたカフェは関係を築いていく絶好の場ではないか、と考えられたとのことです。
その後、この「円卓会議」のメンバーは有志で集まり、市内中学校に「カフェ」をつくることなどを目的にした市民団体「西東京子ども放課後カフェ」を発足します。ノウハウの共有などを図り、各校での実施につなげていきました。なお、同会の活動は、今年度、市のNPO等企画提案事業にも選ばれています。
全校での実施を目指しつつ、まだ開催に至らない学校もありますが、同会副代表で同市主任児童委員の西原みどりさんは「地域の自発的な活動でなければ意味がない。焦らず、じっくり意義を広めていくことが大切」と話します。
27日の事例報告&講演会は、まさに意義を伝える場。同会代表の古林美香さんは「事例を知ってほしいのと同時に、かかわってきたメンバー自身も、意義を見つめ直す場にしたい。また、こうした催しを通して、大人と子どもだけでなく、地域の大人同士もつながっていければ」と話しています。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)
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27日のイベント「中学校にカフェをつくろう2」は、午後1時から3時30分まで、田無駅南口すぐの正育堂2階ホールで開かれる。
ひばりが丘中と柳沢中の事例発表のほか、NPO法人ハンズオン代表理事で『あそびの生まれる場所』(ころから)の著書がある西川正さんの講演「人があつまり場がうまれる~居場所があるということ」がある。
無料。当日先着40人。同会主催。詳しくは古林さん(090・3525・7949)へ。
(※編集部注 このイベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)