「公園が増えている」と喜んでばかりいられない――市民団体「西東京 自然を見つめる会」が先頃、市内の公園の利用状況などを調査し、小規模公園が増える問題点を指摘した。より良い住環境に不可欠と思える公園だが、そのあるべき姿とは? 同会顧問の中村賢司さんと代表の大矢隆治さんに話を聞いた。
――西東京市の公園の利用状況などを、冊子にまとめました。
「31公園をピックアップし、1年かけて利用状況を調べました。10年ほど前にも調査を行っていて、その後の変化を確かめたいという思いもありました」
――分かったことは?
「公園は広いところほど利用率が高いということです。ところが西東京市には、300平方メートル以下の小規模公園が大半です。
市の今春の調査では、市立公園・緑地が267カ所あるうち、300平方メートル以下のところが59%に当たる159カ所となっています。
小規模公園が多いと管理しきれないという問題もあり、『公園が多い』と単純に喜べない状況があります」
――小規模公園が多いのはなぜですか。
「2007年に『人にやさしいまちづくり条例』が制定され、開発の際には規模に対して3%以上の緑地を整備することが定められました。これにより、小さな公園――いわゆる提供公園が急増したといえます」
――より良い住環境になるはずなのに、管理が大変で利用率が低い公園が増えてしまったということですね。皮肉です。
「私たちはいま、提供公園ではなく、その分を金銭に換算した『金銭納付』に力を入れるべきと訴えています。小さな公園をたくさん造るのではなく、金銭納付によって、広めの公園を開発していく。結果的に公園の総面積は同じで、利用率は上がるはずです。利用率が高い公園は、幼児、母親たち、高齢者と、多世代交流も生まれやすい。災害時の避難所としても機能します。私たちが重視している、緑の保全という面でも、利点が多いです」
――なるほど。公園には緑の保全の役割もある。
「開発が進むなかで町に一定の緑を確保するには、公園や屋敷林の存在が欠かせません。私たちは、公園などがネックレスのように数珠つなぎになることで、『緑のある町』がつくれればと考えています。
そのためには、町にどんな自然があるのか、どんな木があるのか、など、まずは知ることが大切です。今回の調査もそうした一環ですし、市民に向けて、緑の散策路や市の木50選の紹介なども行っています(いずれも市との協働事業)。市民の皆さんには、ぜひ身近な緑に目を向けてほしいです」
【リンク】西東京 自然を見つめる会