「ワーママ十人十色」小崎奈央子さん インタビュー(3/4)

 

■多摩エリアのワーママに聞く、働く母の在り方。

一口にワーママ(ワーキングマザー)と言っても、大切にしたいものや、環境、悩みはさまざま。そんな十人十色なワーママたちの、モデルとなるような生き方をしている人たちに『タウン通信』が取材しました。第1回の登場は「仕事も、子どもと同じように大切にしたい」と話す、小崎奈央子さんです。

 

<プロフィール>

小崎奈央子(おざき・なおこ)

株式会社けやき出版/代表取締役社長・編集者

「まちと人をつなぐ」をコンセプトに、東京都多摩地域に関する情報を発信しているけやき出版。一般書・地域情報誌・社史や自費出版などを手掛けており、1997年に創刊した季刊誌『たまら・び』は、7月1日発行号で100号を迎える。同記念号では「多摩ってなんだ?」をテーマに、多摩全域を紹介。それぞれの町で生きる人たちの「WEST TOKYO STYLE」を探る。

http://keyaki-s.co.jp

 

<目次>

イントロダクション(※7月2日公開)

第1回 出産で一度は手放した、憧れの職業。(※7月3日公開)

第2回 肉体的につらくても、離婚で心は自由になれた。(※7月4日公開)

第3回 シングルマザーとしての葛藤と決断。(※本ページです)

第4回 ママだからって、不自由じゃなくていい。(※7月6日公開)

 

■一緒にいる時間が短い分、子どもに愛が伝わるように。

 

——シングルマザーになったばかりの頃は、悩むこともあったのではないでしょうか。息子さんが10歳、娘さんが2歳の頃ですね。

 

母親が忙しく働いているということについて、当時、息子には理解してもらえないことが多かったです。娘も2歳から父と離れているので、物心つく頃には、私しか親がいないわけで。そういう状態でいいのかなって思うことは、……ね。ありますよね。

 

親の選択に子どもを巻き込んでしまって幸せにできるのかと悩んだときに、たくさんの本を読みました。子育ての本や子どもにまつわる心理学の本など、とにかく数を読んで、その上で、自分で判断しようと思って。

 

——どのような結論が出たのでしょうか。

 

「親が無条件の愛情を与えれば、子どもはちゃんと育つ」ということです。要は、「ママは自分のことを愛してくれている」という自己肯定感が大切なんだと。

 

たとえば、一緒にいる時間が長くても、子どもを放ってスマホに夢中な親がいるとします。親がスマホを見ている時間が長ければ長いほど、子どもは愛されているという実感を得られにくくなると思うんです。親に愛されずに自信がなくなってしまえば、自身の存在価値を見失うことにもつながるでしょう。だから、私は一緒にいられる時間が短い分、ものすごく濃い愛を子どもに与えようと!

 

——熱がこもってきました(笑)。時間あたりの濃度が高い愛を、と。

 

気持ち悪いくらい、「大好き大好き」「愛してる愛してる」と言っています(笑)。「ママがどれだけあなたたちを愛しているか!」と。猛アピールですよ。少し恥ずかしそうにはしていますけどね、ものすごく安心してくれるんです。特に娘がですね。私自身、彼女には親2人分の愛情を注ぎたいと思っていて。

 

娘は「さびしい」「もっとママと一緒にいたい」ということも時には言うんですけれど、「仕事を頑張っているママが好き」という言葉もくれるんです。

 

——それはうれしいですね。

 

うれしいんです。「ママみたいになりたい」「お仕事を頑張りたい」って。土日だったら、仕事関係のイベントで差し支えないところには一緒に行ったり、石川さんがご覧になったFacebookのように撮影の場に連れて行ったりもしていて。そういう影響もあるのかな。連れて行く内に、あちこちで顔見知りができるのが楽しいみたいですね。お手伝いが好きで、「これやろうか?」なんて言ってきたり。

 

——レフ板を持っちゃったり……(笑)。

 

いや、そこまではないですけど(笑)。

 

——『タウン通信』では、自治体や民間の保育サービスを取り上げることもあるんですが、そうやって子どもを職場に連れて行ける環境が、もっと根付けばいいのになと思います。もちろん、時と場所は選ぶことになりますが。

 

私自身、そうせざるを得ないところがあったんですよ。普段は親に面倒を見てもらっているのですが、預けっぱなしにするのは親にも子どもにも申し訳ないし、自分自身も子どもともっと一緒にいたいと。社長になる前からなんですよ。休日出勤するときに「一緒に会社に行く?」と誘うと二つ返事で(笑)。

 

それに、思わぬ副産物もあったんです。私の仕事している姿を見てもらおうというのは考えていなかったんですけど、娘が仕事を「楽しいものなんだ」と思っているんですよね。それは、私の仕事が好き・楽しいという感情が伝わっているのかなと解釈しているんですけど。

 

——働くって、子どもながらに大変なイメージを持っていた記憶があります。

 

私が愚痴ばかりを言っていたら、マイナスイメージを持っていたかもしれないですね。

 

私が疲れているのを見ると、「ママ大丈夫? 今日は大変だったんだね」と、楽しいだけじゃないことも感じているようで。

 

——子どもって、時にビックリするくらいに何かを感じ取りますよね。よく見ているというか。

 

よく見ていると思います。特に、息子はもう18歳なので、私が「仕事でこういう人がいて、こういうことを言っているんだけど、どう思う?」なんて話をすると、「それはお母さんがこういう言い方をしがちだからじゃないの? もっと、こういう言い方をしたほうが良かったんじゃないの?」なんて、私のことをよく知っている分、的確なアドバイスをくれます(笑)。頼もしいですよ。

 

——過去に悩んだこともあったと話していましたけれど、そういう風に育ってくれると、小崎さんの選択が間違いではなかったと思えそうですね。

 

そうですね。私が言うのもなんですけれど、親がこんななのに、よくまともに育ってくれているなと(笑)。とてもいい子たちで、友だちとも仲が良くって。「何かある?」と聞くと、毎日すごい楽しいよって。とても素直に育ってくれているなと思っています。

 

<目次>

イントロダクション(※7月2日公開)

第1回 出産で一度は手放した、憧れの職業。(※7月3日公開)

第2回 肉体的につらくても、離婚で心は自由になれた。(※7月4日公開)

第3回 シングルマザーとしての葛藤と決断。(※本ページです)

第4回 ママだからって、不自由じゃなくていい。(※7月6日公開)

 

 

(文・石川裕二)

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