宮崎雅子さんは、「出産」をテーマに写真を撮り続けて約30年というフォトグラファーです。
今日のようにマタニティフォト、ベビーフォトが定着する前から撮り続けてきたこのテーマでの先駆者で、「記念」ではなく「作品」として写真に向き合い、これまで300人以上の出産を撮影してきました。
5月10日から13日まで、練馬区で写真展「Mother」を開きます。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)
「女性であることを生かせるテーマ」を探した
宮崎さんが写真に目覚めたのは20代になってからです。「女性であることを生かせるテーマ」を探し、助産師の存在に行き着きました。
一人の助産師を追いかけ、幾つもの出産を撮影。いつしか、出産自体の面白さに惹かれていきました。
「本能の、素のままの女性が見られる現場。さらにそこには夫や父母などいろいろな登場人物がいて、それぞれの心情が刻々と変わっていく。毎回毎回が違い、予測がつかない面白さがありました」
我が子を背負って出産現場に出掛けることも
フィルム撮影の時代だったこともあり、ほどなく、「プロに撮ってもらいたい」と、注文が舞い込むことに。地方へ出掛けることも多くなり、時には、我が子を背負って出産現場に向かっていきました。
出産は「待って!」のきかない現場。嵐の日、雪の日に出掛けることも数度。「お産が生活の一部」という日々を送りました。
「撮れたものがすごい」だけ
そうして300人超の出産を見届け、一時期はNICU(新生児集中治療室)の子どもたちの撮影などもしてきましたが、「命は尊い」などと主張するつもりは毛頭ないそうです。
感じているのは、「結果論として、撮れたものがすごい」ということだといいます。
「出産の感動で抱き合った夫婦が、その後で離婚していたりする。
人生の場面はそのとき、そのときですね。
出産は野性が出る場面。その二度とない一瞬を撮るために、こちらも野性むき出しで、ハンターの気持ちでファインダーを覗いています」
◆みやざき・まさこ 長崎県出身、写真家。現代写真研究所で写真を学び、助手を経てフリーに。著書に『Mother いのちが生まれる』(医学書院)、『NICUのちいさないのち 新生児集中治療室からのフォトメッセージ』(メディカ出版)など。新聞、雑誌などでの連載、寄稿多数。小平市在住。ホームページはhttp://masakomiyazaki.web.fc2.com/Top.html
写真展開催
写真展「Mother いのちが生まれる」は、5月10日(木)から13日(日)まで、ホワイエえこだ(練馬区旭丘1の33の10、江古田駅徒歩約9分)で開催。午前10時30分(10日は正午)から午後5時(13日は4時30分)まで。無料。13日は、ミニコンサート「いのちのうた」を午後2時から開催。小平市在住のソプラノ歌手・星美智子さんらが出演。母にちなんだ曲を披露。コンサートは2000円。12日には宮崎さんのトークショーも。詳しくは同ギャラリー03・3953・0413)へ。
(※編集部注 イベントは終了していますが、地域情報として掲載を継続しています)