清瀬市で活動している子育て支援団体「ウイズアイ」。2006年に設立した、NPO(特定非営利活動法人)です。
立ち上げ以来、未就園児の親を対象にしたグループワークの開催による仲間づくりの支援や、24時間体制の緊急一時保育など、子育て中のママたちにとっての“第2の実家”のような存在になることを目指して、さまざまな活動を行なっています。
「つながり」を生み出す仕組み
「自宅でママが一人で子どもを見るのは大変」との思いから生まれた“ひろば事業”では、訪れた親子同士が知り合い、遊べる屋内広場を市内に4ヵ所開設。毎月、市内外から多くの親子が足を運び、多い時には500組以上が訪れています。
また、保育付きの連続講座では「新米ママと赤ちゃんの会」「アラフォーママの会」「シングルマザーの会」など、同じ境遇で子育てをするママたちが出会えるように工夫。グループワーク手法で進行役のファシリテーターが入り、本音で語り合える場を提供しています。
これには「子どもが赤ちゃんの頃からたくさんの人と関わり合い、ともに成長し、子どもたちが大きくなった時も地域で見守り、支え合うきずなが育ってほしい」という、ウイズアイの思いがあります。
ほかにも、定期一時保育や緊急一時保育事業、ママたちがリフレッシュできるようにと茶道や手づくりパン、ハンドメイドなどの講座を開催するなど、幅広い事業を手掛け、地域の子育てを支えているウイズアイ。
受賞多数、全国から注目が集まる
精力的な活動の数々は、全国新聞などで取り上げられたほかにも、住友生命保険相互会社による「未来を強くする子育てプロジェクト」(2012年)での受賞、スマート・ライフ・プロジェクト事務局(厚生労働省健康局がん対策・健康増進課)による「健康寿命をのばそう!アワード」(2017)では厚生大臣優秀賞を受賞するなど、高い評価を受けています。
2人の女性からスタート
ウイズアイの足跡をたどると、そこには2人の女性がいました。
助産師・保健師として、市の事業である新生児訪問指導を委託された2人は、戸惑いと不安の中で初めての子育てと向き合うママたちの姿を目の当たりにします。
しかし、市の事業として新生児訪問をできるのは、生後2ヵ月の2回まで。
「これじゃ、ママたちに満足のいく支援はできない。孤独な密室育児から解放されて、子育ての不安を解消できる場所が必要だ。仲間と助け合って子育てしていけるような場をつくるんだ」
こうして、1995年に2人のボランティア活動は始まりました。最初に開いたのが、公共施設を借りての「ひろば事業」と「おっぱいママの会(母乳推進の会)」。
2人の熱意は徐々に、しかし確実に周りに伝わり、規模を広げていきます。そうして、活動11年目の2006年にはNPO「ウイズアイ」を設立します。
次週の更新では、1995年にボランティア活動をスタートさせた2人の内の保健師であり、ウイズアイを立ち上げた事務局の増田恵美子さんに取材。増田さんが見つめてきた地域の子育ての変化や、地域で子育てをするママ・パパへの思いを伺います。