在宅診療NOW
まつばらホームクリニック 松原清二院長のコラム
息が苦しい、体がむくむといった症状の原因が心臓にある場合を、「心不全」の状態といいます。心臓には血液を全身に送り出すポンプの役割があるのですが、心不全とは、それが十分機能していない状態を指します。
治療としては、まず、心臓がポンプ不全になった原因に対してのものがあります。また、呼吸困難や浮腫に対しては、酸素療法や薬物治療などを行います。
多くは症状は改善しますが、その後に何度か症状の悪化を繰り返し、そのたびごとに利尿剤や強心剤といった薬剤治療を行っていきます。症状を緩和するといった意味では、従来型の心不全管理だけでは十分ではないという印象を常に持っており、治療をしながらもジレンマを感じていました。
緩和医療の拡大に「安堵」
先日大阪で開かれた日本循環器学会総会では、やはり同じようにジレンマを感じていた医療機関が多数ありましたが、この4月から厚生労働省の診療報酬指針で心不全も緩和医療の対象と認定されるとの発表があり、「やっとこういう時代になってくれた」と一様に安堵した次第です。
現在、当院は、この地域で最も多くのがん患者の終末期の緩和医療に関わっています。その経験を生かし、私自身が専門としてきた心疾患の領域でも、心不全の患者さんが自宅でより良い療養生活を送れるように、根本原因への治療と併せて、緩和ケアを行っていきたいと考えています。
緩和医療は自宅でもできる
皆さんには、緩和医療は病院だけでなく、在宅でもできることを知っていただきたいです。選択肢がぐっと広がるはずです。
プロフィール
松原 清二